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視力障害に挑戦 (1)ー自作読書器ー / 錦織 孜

 両眼とも加齢黄斑変性症だと宣告されて12年になる。初期発見で先端治療を受け続けてきたが、次第に悪化してきた。今左眼は0.04、右眼は0.1の視力となった。新聞、雑誌、書籍などまとまった記事が読めなくなって2年を越した。
 不自由ではあるがいろいろ工夫することでなんとか楽しく暮らすことができた。あまり参考にはならないだろうが紹介してみよう。

「拡大読書器の自作」
 先日家電量販店のビデオコーナーで何気なくカメラに 手を伸ばした。レンズに相当近づいても拡大された手がはっきり見える。カタログの小さな文字をレンズに向けて映し出してみた。自動的に焦点が合って読めるのではないか。
 

 今年初めからコンパクトカメラ、一眼レフを使って読書器が作れないものかといろいろ試してきた。書類を撮影し、カードにに録画したデータをパソコンに送ってソフトで見ることはできるが、読めるまでに、カメラの位置、ズームの度合いなどの調整を何回も繰り返す必要があった。リアルタイムに設定してみることができなかった。Webカメラならリアルタイムに見ることができるソフトがついている。購入して試したが、画像が暗くて、相当明るい補助光が必要であった。解像度が低く周りの景色を見るには良いが、文字をきちんと判別して読める状態ではなかった。
(以下すべての画像をクリックして拡大できます)


購入した ビデオカメラはワイド側でF1.8と明るく普通の明るさの状態でも使える。三脚は資料台の横に置くため、斜め下方向にレンズが向く。そのため書類の左側と右側の映り具合がやや異なるが、使用は可能である。横から写して上下方向を保つように画面を寫せるようにカメラを雲台に設定する必要がある。カメラの向き、高さ、ズームの度合いを総合的に調整する必要がある。三脚ではカメラ、パソコンの調整にルーペが必要で、腰痛持ちの自分にはきつい作業であった。ディスプレイは書 斎で使用している古いテレビを兼用した。
FBIMG_7812kakudaiSet.jpg 試作1号器と 現用の
ルーペおよび、携帯用読書器
知人から接写用小型三脚のアイデアをもらい、ネットで探し四国のメーカーから購入した。伸縮可能で上下左右に角度を変えることができアーム先に雲台がある。資料台のほとんどの位置で同じ高さでカメラを垂直に保つことができる。三脚は強力両面テープで固定できた。使い勝手の良い拡大読書器ができた。携帯用読書器では手書きがうまくいかず悩んでいたが、この読書器では小さな字でも手書きができた。
制作費用は一般製品の4分の一以下ですんだ。
 この新作の読書器でゆっくりと本を読みたいと思っているが、今は2,3ページで完結するマニュアルの一つの章が限界である。裸眼もしくは老眼鏡でさっと読めるようなレベルではないので、つい改良・調整の方にのめりこんでしまう。何のために作ったのか。目的は読書なのに、使って便利だと思える方向に時間を割いているようだ。これも自分の性なのかと思う日々である。(未完)
 
IMG_8331Fb.jpg 改良器
接写用三脚を使用
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視力障害に挑戦(2) ーどう見えるー / 錦織 孜<br />

「加齢黄斑変性症になるとどう見える(再現実験)」

 インターネットで紹介されている黄斑部の断面図や見え方のサンプルをみて、人それぞれ違うのだと思う。したがってここで示す寫眞は私が見えている状態を寫眞加工用ソフト(Photoshop CS5)を使って再現したものである。明暗は記憶に頼って調整できるが、色調は色そのものが正常時代と違ったようなので、とんでもない色で再現されているかもしれない。悪しからず。
 最初は白紙に印刷された文章 次に、明るい場所、暗い場所、について紹介しよう。
以下すべての写真はクリックすると拡大できます。

「文字」
 
新聞や書籍のように白紙に印刷された文字は、読もうと思って見つめると、そこが丸く光って中にあった文字は光の中に溶け込んだように消えていく。 周りに文字があるのだが、そのままではなんという字か認識できない。読もうと思って目を向けると消えていく。 
  IMG_8339Amd.jpg 
  ルーぺやパソコン画面上で見えなくなった場所の文字を拡大していくと、約1cm角に大きくすると光っていた場所にぱっと文字が浮かんできて読むことができる。っしたがって10年位前は1.7倍程度の一般に市販されているルーペんで問題なかった。しかし黄斑部に液体の滲出がひどくなったり、出血した後は、レンズの倍率が高いもの(3.5倍以内)でLED付けで明るく照らさないと読めなくなってきた。  IMG_8339kakudai.jpg 
  暗いバック地に白文字の場合は光ることがないので、テレビでは、表示されているチャネル番号、時刻、字幕などは何とか読むことができる。

 IMG_5319bolero.jpg  
    
    
    
「明るい場所での見え方」

 順光の場合
9月下旬、萩の花、彼岸花を求めて北鎌倉を訪れた。どちらもお目にかかれなかったが、秋を満喫した。毎年10月か11月訪れて紅葉を愛でているところだ。カメラがとらえたままの画像を右に示す。残念ながらわが目はこのようには見えない。右下の寫眞のようにくすぶったものになる。  IMG_5709org.jpg 
 色あせたセピアの世界にも慣れた。明るいところはギラギラと白く光り、シャドウ部は真っ暗、中間部といわれる部分も真っ黒で、全体的に焦点が甘く、白っぽい霧がかかる。時々印象派のさる著名な画家を思いながら見ることにしている。
 道で誰か知っている人とすれ違っても、顔が見えなくて知人だと気が付かない。誰かと判別するには1m以内に近づかないとわからない。
  IMG_5709Amd3.jpg

逆光の世界
加齢黄斑変性症が進んでから、逆光の世界が楽しくなった。色づいた葉っぱを通り抜けた光、水面での光の演出 が美しい。右は普通の寫眞。 IMG_5705org2.jpg 
黄金色に輝く逆光の世界。特に加齢黄斑変性症になって2,3年前から強烈に感ずるようになった。

IMG_5705amd.jpg  
   
「暗い場所での見え方」

  美術館、博物館は部屋が暗くしてあるので、展示物も、説明書きも見えない。高い金を払って何も見られなかったことが何回もあった。最近は妻だけ入って私は外で庭を散歩することに決めた。
 夕方少しだけ暗くなったとき、外へ出ると真っ暗で懐中電灯がないと歩くことができない。普通の人なら道路が見えるはずである。テレビ画面で木陰で光が少ない場面と、暗いけど白い服装で明暗がはっきりした画面を再現してみよう。


IMG_8107org.jpg  IMG_8107tclblamdFB.jpg 
 普通の人なら外の森の中でも十分に人の顔が認識できる。 
左と同じ条件だが、加齢黄斑変性症のものにとっては、暗闇で人物が殆ど見えない。

   
 IMG_8092org.JPG  IMG_8143amdFB.JPG
 暗いバックだが白い部分が際立って明るく十分文字内容もわかるだろう。  加齢黄斑変性症の人にとって像がぼやけ少し文字が読みにくい。

 上記の実験は、ソフトを使って光の状況を変化させ、自分が見えている状態と同じと思われる状況が再現できたなら、可逆的に考えて正常に見えるような電子的な」フィルターが得られるのではないか。病んだ目を通して入った情報は多くの情報失ったものなので復元はできない。しかしカメラの生情報なら十分な情報を持っているはずで、目で弱くなる情報を増幅することで復元できるという仮説をしばらく信じて余生を楽しく過ごすことにしよう。

(未完)
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視力障害に挑戦(3) / 錦織 孜


「パソコンと光るキーボード」
  パソコンとはもう20年以上の付き合いである。自分で取ったメモが読めないほど字が下手だった悩みはほぼ解消した。目が悪くなって読むことにも苦労するようになると、パソコンに読み込んで拡大して読むのが当たり前となった。
パソコンのディスプレイは20インチ以上で高コントラストに設定できるものを選んだ。キーボード上の文字がはっきり見えないようになってから光るラベルをキーに貼り付けて位置が分かるよう工夫した。IMG_8141kbd.jpg目が悪くなってからインプットミスや誤変換が増してきた。修正のために「デリートキー」と「バックスペースキー」の使用が当然増える。キー上の文字が良く見えなくでも、寫眞で右から4つ目の1段目と2段目のキーが金色に光っているがこれが「Del]{BS]キーである。句読点を表す金色マーク、「長音ー」と「括弧()」は数字のセロの右左にあるので{0}を光らしている。その他矢印キー、カタカナ変換キーなど自分流に光るマークを付けて、目を余り使わずに入力できるようにしている。このヒントはネット検索で、加齢黄斑変性症で悩む方が家の中の電気のスイッチに白いテープを貼ったと書いていたのを見て思いついたものである。


  
「小型望遠鏡、ルーペ、コンパクトカメラ」
 日頃携帯していないと困るもの3点が上記のものである。
 バス停で、来たバスの行先・経路がわからないことがある。今日も失敗した。時間通りに来たバス、行先も確かめたバスなのに、経路の違ったバスだった。仕方なく終点まで乗って、電車で目的地へ行った。IMG_6027FB.jpgIMG_6055FB.jpg
外で見えなくて困るもの:近づいてくる自動車、横断歩道の信号、バスの路線番号と行先表示、駅のホーム案内、ビルの名前、、・・・・こんな時には小型の望遠鏡か双眼鏡が助けになる。倍率よりも広視野で近距離で焦点を素早く合わせられるもので接眼部が大きなものが使いやすい。星座観察用の双眼鏡を見つけた。倍率2.1倍で対物レンズ経42mm、接眼レンズの径20mm程度で目にさっとあてて見える。小型の割には410gと重く、長時間首につるすと肩が凝る。小型望遠鏡は70gと軽く携帯には便利だが、やや高倍率(5倍)で視野9°と狭いため、バスのように動く目標物を探して焦点を合すの時間がかかる。バスの行先が確認できないうちに到着してしまう。固定した表示板には向いている。
普通のメガネのようにかけて見えるものがあればと思う。
 ルーペは手元にある書類の確認や記入するときの必須道具である。ただし、医療や薬局窓口で行われるアンケート用紙への記入は私にとって難事業のため、先方に記入をお願いしている。IMG_6048FB.jpg
 寫眞左のルーペは昨年購入したドイツのE社の製品で、非常にクリアなレンズで、明るいLED付で、3.5x 10D 250 の表示も使う人の立場にある。レンズの度数を示す10Dは逆数がら焦点距離は0.1mで、250は目とレンズの適正距離は250mmである。レンズの焦点10cmにものを置いて、レンズと目の間を25cmにはすると像は3.5倍に見える。きちんとした使い方の表示である。
寫眞右のルーペは3.5倍の補助用のもので、ポケットに入れて持ち歩いている。
  

 ショーウィンドウに展示されている品物の値段とか説明内容を見る場合、望遠鏡では近すぎ、ルーペでは遠すぎて使えない。こんな時ズーム機能付きのコンパクトカメラでズームアップしてみる、または寫眞を撮ってズームアップしてみることができる。

 お詫び
 視力障害者に少しでも見える手立てがあればと思い、経験を並べたものです。つまらない記事となってしまったことをお詫びします。(完)