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  • テレツーリズム/齋藤嘉博@クラス1955

      過日この欄に載せて頂いたモロッコ紀行、諸兄はどのように読んでくださったでしょうか。モロッコへの興味は冒頭に書いた通り。しかしこの旅のお話し、カスバの様子などはその気持ちに誘われたfake、ヴァーチャルの旅記だったのです。現地の写真がありませんでしたので不審に思われた方もおられたと思います。コメントを頂いた小林さんゴメンナサイ。

      このトシで遠方への飛行機の旅やドライブもいつまで出来るかなと思いながら、しかし行きたいところはまだまだ沢山。そこで考えたのが地図の上でのヴァーチャルの旅。地図を拡げ旅行書を読みながら、あそこに飛んでここはドライブでと、もう十数年前にニュージランド、インド、マレーシア、アフリカなど二十に余る世界の観光地の旅スケジュールを作ったのです。モロッコもそのうちの一つ。そのときのプランに最近モロッコ大使館で頂いた観光パンフからの情報を加えて書いたのでした。

      その昔に作ったプランの中からいくつかをご紹介しましょう。

      トルコ;東西文化の接点トルコは是非行ってみたい国の一つ。この国については’12年のブログに大橋さんの二回にわたるすばらしい紀行稿が寄せられています。それによると世界遺産のアンティオコス王遺跡への山道はなかなかハードの模様。そこでここはパスして、成田12:50発のTKでイスタンブールを乗り継ぎアンカラへ飛び、車を借りてカッパドキアへ直行。ここから古都コンヤ、綿の城と呼ばれるパムッカレへとトルコの西部高原地帯を走り、イズミールからトロイの遺跡へ。地中海の夕陽を楽しんだのち車を返却して船でイスタンブールに向かおうというプラン。イスタンブールには沢山の見所がありますのでここでは4泊して帰国という16日間のプランでした。

      ニュージランド;ニュージランドは日本と経度も近く経度もほぼ同じ。島の面積も似通っていてなぜか大変親しみの湧く国です。成田から南島のクライストチャーチに飛んで、星が美しいと言われるテカポで「善き羊飼いの教会」、湖を散歩してスターウォッチング。マウントクックと氷河ミルフォオードサウンドを楽しんだら空路で北島に移り、トンガリロ国立公園やロトルアの温泉に浴してオークランドから帰国という18日間のスケジュール。諸兄の中にもこの国を楽しまれた方は多いのではないでしょうか。

      何回か訪れたドイツもクリスマスの時期に行ってみたいネと、シュツットガルトのクリスマス市場から始めてニュルンベルグなど古城街道を軸にプラハまで走り各地のクリスマスを観ようという魂胆。ここはアウトバーンがしっかりしていますので時速200Kmの快感を交えて。運がよければバイロイトでワグナーのオペラも。ベルリンのクリスマス市場を最後にという欲張り日程は19日間。これもすでに経験された方が多いでしょう。

      難しいのはインドとアフリカ。タンザニアのキリマンジャロ高原、動物の楽園、セレンゲッティ国立公園いいでしょうね。そしてインドはお釈迦様の遺跡、ルンビニ、ブッダガヤー、サールナートなどを中心にと想いながら、私がこれまでに知っている地域とは異なる風土。なかなか全体の感触がつかめないのです。この辺りなにかよいヒントがあればご教示頂けるとありがたいのですが。

      こうした頭の中の旅はコロナで不急不要の外出を控えさせられている身には格好の、しかし楽しい時間つぶしです。観光資料はその国の大使館、領事館などで手に入りますし、近頃はUチューブなどwebで検索するとけっこう楽しい現地の動画を観ることが出来るので幻の旅もかなり現実味を覚えることができるのです。いうなればテレツーリズム。諸兄もいかがでしょうか。

      といっても遺跡を目の当たりにして古代に飛ぶ想い、広い広い山野の自然を歩き眺める感動、喧噪の街の中で人々のざわめきを感じながらカフェで過ごすひと時の経験はテレ、ヴァーチャルではとても得られない感触です。ヴァーチャルはやはりそれだけのもの。このころコロナの影響でディジタル庁を作ったり、テレワークを推奨していますが、画面をとおしてできるのは仕事の骨格、それに肉付けぐらいまで。魂を入れるということには至りません。ディジタル仕事の会社には「このような不祥事は再び起こさないように」と頭を下げるトップの姿が増えることでしょう。早くコロナが治まってもう一度山野を歩きたいですネエ。間に合うかナ。

    2 Comments »
    1. このお話を読んでいて、ふと思い出したのは、昔の作家の作品に傾倒している人(研究者?)が、その作家の全作品を読み、その人の生涯までも深く調べているうちに、その故人に親しみを感じるようになり、ついに友人になって、手紙を交換するというような、ヴァーチャルな交友関係を結ぶという話です。これって、まさに、テレフレンドシップ?
       最近、この例に出会ったのは、今年の学士会会報の4号(No.949)に載っていた、井上浩一氏の「アンナ・コムネナの手紙」です。これは12世紀前半のビザンツ帝国の女性アンナ・コムネナから手紙をもらったという話です。
       興味のある方は、是非、この歴史家のロマンチックなエッセイを読んでみて下さい。

      コメント by 武田充司 — 2021年8月16日 @ 22:34

    2. “アンナ・コムネナさんの手紙”、小生も読んでいました。不思議な感覚で。こんな手紙がとどくこともあるのでしょう。貴兄の「リトアニア史余談」にも13世紀の要人からの手紙がくるかも。

      コメント by サイトウ — 2021年8月17日 @ 20:24

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