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  • 囲碁ソフトの効用/大橋康隆@クラス1955

     今年新しい囲碁ソフトを購入した。宣伝文句に「白番が強くなります。」と書いてあったので、私の苦手な白番対策である。未だ一年も経過していないが、効用を実感している。


    全く同じ実力の二人が対局する場合、先番の黒と後番の白とのハンディキャップ(コミ)をどう決めるかで戦略は全く変わってくる。昔は、互先といって、交互に黒番、白番を交代して複数局打っていた。しかし、棋士の数が多くなり、一番で勝負を決める必要性から1939年に4目半のコミを設けたが、1947年に5目半に改正され長期間続いた。その後2002年に国際戦との整合をとるため、6目半に改正され現在に至っている。黒では、7目勝たないと勝ちにならず、6目では負けとなる。白番の不利が改善されてきたが、それでも黒番を持ちたいという人が多く、私もその一人である。

     何故黒番を持ちたいかといえば、序盤戦で自分の得意な「中国流」「ミニ中国流」「小林流」等の布石で戦局をリードして逃げきりたいからである。囲碁の本でも黒番に関するものが圧倒的に多く、白番の勝ち方については少ない。白番では常に相手の出方に応じて最適の対応が迫られる。相手が甘い手や悪手を打たない限り主導権は握れない。しかし、コミのない時代には黒は着実に、白は積極的に打っていた。コミが6目半にもなると逆に黒は序盤戦で積極的に打って有利な形勢を確保し、白はゆっくりと打ちながら拙速な相手の弱点を見つけてから反撃する戦略に変わってきた。

     囲碁ソフトと対局する場合、自分が白番で相手に打たれて苦労する布石を黒番で打ってみると大変勉強になる。その結果、極めて当たり前のことが判ってきた。白番では絶対に弱い石を作ってはならない。最初は不利なのだから、相手が正しく打てば最後の瞬間まで逆転のチャンスはないのだ。しかるに早く形勢を有利にしようと無理な手を打って自滅することが多いのである。囲碁十訣の最初に「不得貪勝」(貪れば勝つことを得ず)と書いてあるが、囲碁の格言には、人生観に役立つものが多い。また、思考力を鍛錬するにも囲碁を小学生の頃から教えるのが良いと私は思っている。囲碁も国際化してきているので、底辺の拡大が望まれる。吉原(旧姓梅沢)由香里六段監修の漫画「ヒカルの碁」がヒットして、少年、少女に囲碁ブームが巻き起こったのは喜ばしいことである。

     囲碁の上達には、囲碁ソフトは極めて有効であると思う。しかし、最初に囲碁を習得するにはやはり教室が最適であろう。2008年から、東京大学教養学部で石倉昇九段が客員教授として、入門者向け囲碁教授法の開発と教育実践を担当されている。50名の定員に対し、170名の応募者があったとのことである。12月初旬に開催された神奈川銀杏会・囲碁の会の忘年会で、そのことを聞き、我が意を得たりと思った。私は定年後、直ちに神奈川銀杏会・囲碁の会に入会し、可能な限り偶数月の第2土曜の午後は横浜に出かけている。石倉先生は、この会の顧問であり、12月には指導碁を打って下さる。私も一度籤が当たり3面打ちで指導を受けたことがある。通常は、石倉教室に所属している女性インストラクターの指導碁がある。私は奇数月には第2土曜日の午後に八重洲で開催される東京銀杏会・囲碁の会にも出席している。囲碁ソフトの助けを借りて、更なる上達を目指している。

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