「沢辺評論」へのコメント/大曲恒雄@クラス1955
記>級会消息 (2011年度, class1955, 消息)
~日本経済は破綻するのだろうか~
2011/4/1のブログに掲載された沢辺君の投稿「近頃思うこと(その19)」にコメントをつけようと思っていたが、長くなり過ぎたので別記事とした。
・沢辺君は政府が1,000兆円もの借金をどう減らしていくかの計画を示さないと嘆いておられるが、計画の作りようがないというか、もう手がつけられなくなっているからではないだろうか。内閣がクルクル替わり、中長期的視野でこの問題に取り組む体制ができず、問題の先延ばしばかりしているうちに処置無しになってしまったということだと思う。
・日本の財政破綻について警鐘を鳴らす本はいろいろ出ている。その急先鋒が(資料1)で、タイトル通り2014年またはそれ以前に日本が国家破産すると警告している。
この本の中に、ここ20年くらいの間に起こった外国の破綻例が幾つか紹介されている。例えば1990年代のロシア、2000年頃からのアルゼンチン、2008年頃のジンバブエなど。何れも読んでいると寒気がするような感じになる。
(資料1)浅井隆/2014年日本国破産・警告編(2010/3 第二海援隊)
・個人の場合でも国家の場合でも、借金が返せなくなったら踏み倒すしかない。国家にとって借金を踏み倒す一番手っ取り早い方法はインフレにすることで、物価が2倍になれば実質借金残高は半分、物価が10倍になれば1/10になり、殆ど問題にならなくなる。日本の場合、借金の95%程度を国民が負担しているので踏み倒す相手は国民ということになる。
(資料1)の表現では「国家が破産した時、国家が私たちの大事な資産を容赦なく強制的に奪い取って行く。そして借金を踏み倒した側の国家は身軽になってゾンビのようによみがえる」。
・もし日本の経済が破綻した場合、スケールが大き過ぎてIMFでは手に負えないのではないかと言われている。アメリカも自国のことで手一杯、そうなると最後は中国しかいない・・・(?)。
・一方、日本は破産しないという楽観論(?)側の本も幾つか出ている。例えば
(資料2)榊原英資、竹中平蔵/絶対こうなる日本経済(2010/6 アスコム)副題:この国は破産なんかしない
$00A0 (資料3)三橋貴明/新日本経済入門(2010/7 アスコム)副題:日本は破綻しません
・以上はいずれも昨年出されたものであるが、最近発売された(資料4)は「国債暴落を回避せよ」(副題:今なら打つ手はある)との大見出しをつけた特集号で、今回の大震災の影響を分析した上で「Xデー迫る」とアラームを発している。
(資料4)週刊東洋経済(2011/4/2)
・今回の大震災の結果、歳出が膨らむ一方税収が減り更に借金が増えざるを得ないため経済破綻へ一歩近づくことは確かであろう。
(資料4)に一橋大経済研・小黒准教授らによるシミュレーションの報告が出ているが、結論は「財政悪化のため2020年頃の財政破綻確率を大震災前の約2倍に高めてしまう」とのこと。
・上記小黒准教授の報告は下記のように締めくくられている。
『今回の震災を「第二の敗戦」と言う識者もいるが、まだ本当に負けてはいない。日本は過去にも奇跡の復興を遂げてきた。最終的に敗戦になるか否かは、今後の我々の努力に懸かっている。』
・これまでの「足を引っ張り合う政治」から「チエを出し合う政治」へ転換し、強力な政治のリーダーシップを築き直し、大震災の復旧・復興を起爆剤にして何としてでも復活・再生の方向へこの国を持って行って欲しいものである。
2011年4月11日 記>級会消息