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  • 自惚れてはいけない/大橋康隆@クラス1955

      昨今日本を含め世界の社会情勢は不安定さを増してきたが、私の体も年令相応に不安定になってきた。1月に血尿が出て、CT検査の結果、左腎臓にコブがあることが判明した。


    更に精密に診断するため、造影剤を注射してCT検査を受けることになり、2月末まで現在順番待ちである。待つことはいい気持ではない。つい20数年前のことを思い出す。
      1984年11月から1990年6月まで私は日本高速通信(株)に勤務した。通信の自由化に伴い、市外通信サービス会社が第二電電、日本テレコムとともに3社が設立され、ゼロから出発してスタートから厳しい競争にさらされた。
      ようやく軌道に乗り始めた1988年1月21日朝、書記さんがお茶を持って来たとき、「今日は風邪でもひいたのか頭が少しチンチンする。」と言ったら、「3階にクリニックがあります。アポ取りましょうか。」と言われた。会議があるので断ったが、その直後、急に吐き気を催した。従来胃は丈夫であるが、先年NEC研究所のMさんが急逝された時の状況が脳裏に閃き、頭であると直感した。直ちに3階のクリニックに連れて行ってもらい、医師に説明しかけたら気が遠くなった。幸い、当日はJR東京総合病院の元院長で神経内科が専門のD先生がおられた。救急車で六本木から代々木の病院に運ばれ2週間入院した。
      最初の夜は不安定で、夜中に何度も生死の確認のため懐中電灯で瞳孔検査をされた。初めの5日間は一過性虚血性脳発作のショックで不完全腸閉塞となり、苦しんだ。尿の排泄も止まり、尿管導入の際思わず「痛い!」と声を出したら、「ここでは痛みを感じない人や、痛くても言えない人が多いです。声が出るのは元気な証拠です。」と言われた。初めて入院して、現代の病院は検査、検査であることを知った。看護婦さんから「若いつもりでも年並みにあらゆるところが老化しています。」と注意された。1+1から66÷11まで毎日チェックされた。
      退院する時「大分脳細胞が死んだので馬鹿になったでしょうか?」と尋ねたら「自惚れてはいけない。ゲーテの様な天才でも脳味噌の10%しか使っていない。スペアパーツが沢山ある。直ちに血管と神経が伸びて昔通りになる。丈夫な人間は不注意なので死に易いが、君はこれで性根が入ったので案外長生きするかも知れない。」と諭された。田舎者で丈夫だと言われていた私の入院は、NECの年輩者にショックを与えたらしい。先輩方からしばしば電話があり,半分あの世に行った時の感想を聞かれたが、「今死んだら困る。」という以外何もなかったとお答えした。
      幸い退院後は順調に回復し特に後遺症は残らなかった。会議では、競争相手の一社である日本テレコムがJR系であることから、「丁寧に治療してもらえて良かったな。」という冗談まで出たが、「緊急事態には国際赤十字の精神が優先します。」と答えたので笑い話になった。当時、定期健康診断には、六本木から日比谷のクリニックまで出向いていたのである。退院後はドクターストップを受けて、禁酒を厳守している。これまで「君は飲む前から酔っ払っている。」と言われていたし、特別不自由は感じていない。

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    $00A0テレホンカード

      ゴルフは冬と夏を除けば、良い運動になると言われていた。4年後の1992年4月11日、既に日本高速通信(株)からNECケーブルメディア(株)で勤務していたが、NEC伝送のデバイスコンペに誘われ、甲府国際CCに久しぶりに出場した。丘陵コースで難しく、打つ度にボールはフェアウエイから低地に落ちてペナルティーの連続となり、午前中のスコアは60を越えてしまった。昼食時に、「やはりここは難しいな。」とぼやいたら、「スッポン・スープを飲むと元気が出ますよ。」と冷やかされて飲んでみた。効き目があったのか午後は52で回れた。8番ホールに来て4番アイアンでショットしたら、グリーンに落ちたが見えなくなった。またグリーンから落ちたかと思ったが、驚いたことにホールに入っていた。前日の雨でグリーンが濡れていて、ボールが跳ねずに入ったのである。更に幸運だったのは、日本高速通信に勤務していた頃、住友海上保険から出向してきた仲間に勧められてホールインワン保険に入っていた。早速テレホンカードの作成を依頼したが、若い女性が来て写真に示す似顔絵入りの洒落たカードを作成してくれたので、日頃ゴルフを共に楽しんだ方々に配布した。「君のように下手なのが入るとは信じられない。」と、「君のように下手でも入ったので自分にも可能性がある。」の2通りの返信を受け取った。

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