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  • 近頃思うこと(その16)/沢辺栄一@クラス1955

     日本の財政赤字が860兆円と大きく、このままでは財政破綻が起こるのではないかと危惧されている。


    マニフェストで公約した子供手当て、高校無料化、農業手当て等の財源を引き出すために、一般会計、特別会計の事業仕分けが華々しく行われたが、最近の特別会計の仕分けでは約200億円の赤字事業も見いだされ、これまでの仕分けで捻出された金額はマニフェストで掲げた16兆8000億円には遠く及ばなかった。一方、定常の地道な業務として会計検査院での2009年度の不適切経理の摘発では約1兆8000億円が指摘された。
     少し感じが違うが昔読んだ話を何故か思い出した。ある地区の警察署の署長が犯罪の発生を無くすため、きめ細かく管内を見回り、その結果、犯罪が全く発生しなかった。その署長が異動し、後任の署長が着任したが、新署長は何もしなかったため犯罪が多発し、凶悪な犯罪も発生した。そこで全署を挙げてその犯人を逮捕した。この功績により署長は栄転した。住民にとっては前の署長の方が良かったのにどうゆうことであろうかという話であった。
     約10年前にIEEEスペクトラム誌のニュースに中国が人間宇宙ロケットを開発し始めたとの記事を読んで、最も金の掛かる人間宇宙ロケットの開発に資金を注ぎ込むことができるまでに成長した経済大国にODAで日本から資金援助をする必要があるのかと思ったことがあった。その後、小泉首相の時に中国へのODA資金援助は止めたと思っていたら、米国の外交政策雑誌に現在でも日本からODAで中国に毎年約1000億円の援助を送っているとの報告があったとのことである。
     財政赤字が860兆円もあり少しでも税金を有効に使用しなければならない上、GDPが世界3位に落ちる国が世界2位になろうとしている国に、また、日本の国土を勝手に自国のものだと主張している国に資金援助を行っているのは全く奇妙な現実であり、ここにも仕分けのかからない政府の税金の無駄使いがあるように思う。
     最近のニューズウイークに中国は経済大国で先進国であるが、都合の悪い時には新興国であることを表に出すずるい国であると記している。
     また、現政府はマニフェストの高校生授業料無償化に関連して、反日の歴史教科書を使用して、日本が悪い国と教えている朝鮮学校にも拉致や核とは絡めないで、高校授業料無償化を適用しようとしている。財源が非常に不足している中で、この国の政府は何処の国に向いて行政を行っているのであろうかと疑問に思う。
     社会主義的な国家や自治体は新しい創造よりも福祉を優先するため、財政的に赤字を作っていることはサッチャ首相の前の英国や、美濃部都政の状況で経験済みである。北欧の福祉の国々は見習うべき国としているが、真面目に働いて給料を稼いでも、税金に多く取られ、その手取りは仕事をしない人の手取りと変わらない状態で、働く意欲を削いでいると言われている。
     ばら撒き等の福祉政策は対象を厳選しないと多くの怠惰な人間を作り、他に依存する気質を養ってしまう。「個人の独立があって国家が独立する」と述べた福沢諭吉の「学問のすすめ」や「天は自ら助くる者を助く」のサミュエル・スマイルの「自助論」は各人の自立の必要を説き、自立者の成功を記述した図書であるが、明治の初期に多くの人が読み、明治人の独立の気骨を育成し、有望な人材が輩出した。この危機的な時代に甘えのない独立心の旺盛な多くの人間を育成する必要がある。
     昭和50年代初期から国の財政赤字が作られ始め、30年以上たった今日860兆円の膨大な赤字に累積し、破綻寸前となったが、これは国民の要望と人気取りの政府の施策の結果であるが、これから50年先に赤字を無くすための長期的政策、将来を見て富を創り出す政策、きめの細かい気配りの政策、必要な耐乏生活に皆が我慢できる政策はできるのであろうかと思うこの頃である。

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