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  • 近頃思う事(その11)/沢辺栄一@クラス1955

     NHKが大河ドラマ「竜馬伝」を開始した。どんなドラマになるのか楽しみにしている。竜馬が活躍した時代はペリーの黒船の来航、清国でのアヘン戦争などの欧米の侵略等を知り、当時のインテリである武士階級ばかりでなく、意のある農民でさえも危機感をもち、方向は多様であったが、何とかしなければとの危機感は国中に満ち溢れていた。


     私は何事に対しても恐怖感が大きい人間である。今一番怖いと思っている事がある。最近放送されている報道、番組等から判断して、武器に依らない侵略、軍隊に依らない侵略が行われる可能性があるのではないかということを感じた。一つはマスコミその他による情報による侵略または洗脳による侵略であり、もう一つは人口による侵略である。これらによる侵略は直ぐに侵略されるわけではなく、20年~30年経つうちに知らぬ間に民主的な方法により侵略され、気付いた時にその支配下になっていたという侵略である。
     (情報による侵略) 昨年春NHKはProject Japan という特別番組を3年間にわたって放送するとして4月4日にそのプロローグを放送した。その最初の部分で日本はペルーの来航以来、侵略に向けて軍備拡張と経済発展を目指したというナレーションが語られたのを聞いて大変驚いた。一般的常識では当時日本はこのままでは清国のように欧米に侵略されると感じ、防備と技術力を付けなければと欧米の制度、技術を真似ることに専念し、欧米諸国にある程度対抗できる軍事力を備えることにしたのだと認識しているが、ペルー来航以来侵略を目指して準備したという表現および番組全体から受けたことは直感的にNHKが3年間掛けて日本は悪い侵略国であることを視聴者に洗脳する放送であるのかなと思ったほどであった。
     翌5日にはProject Japan の第1回として「アジアの1等国」という番組が放送され、日本の台湾統治が台湾の人々に対して著しく差別し、人間以下の動物的な取扱いをしたということを表に出した放送を行った。一般的な常識では台湾の人々を日本人と同じ教育を行い、また、インフラ整備も本土並みに行い、台湾の人々はその教育、インフラに感謝しているのだということで、私自身、台湾の蔡焜燦氏の書いた「台湾人と日本精神」という図書で台湾の人は韓国の人と違って、日本に好意を持っているのだと感じていた。それがこの放送では台湾の人からの好意的な発言は無く、日本を罵倒する発言のみが語られていた。
     この放送がされてから、外部でこの放送が問題視され色々調査も行われ、NHK担当者からインタービューされた台湾の人たちは当時の日本の良い所、悪い所、両方を語ったが、NHK担当者は悪い所だけを放送したということで憤慨していた。放送を捏造し、偏向に利用したとして台湾の人を含めて数千人の人からNHKは告訴され、訴訟が起こっている。このことはほんの一部のマスコミしか報道していない。台湾の人の中にはNHKは中国共産党の手先だと言っている人もいる。私自身もNHKが何らかの意図を持ってこの放送がされたのではないかと感じており、放送の関係者が中国から何らかの指示を受けているのではないか感じる程であった。インターネットでNHKは事情を説明しているが、私にはその説明も納得の得られるものではなかった。
     この放送以後、NHKの報道、番組についていつも事実かどうか、他のメディアと比較して隠している事は無いかとチェックしながら観たり、聞いたりしているが、ここでは紙面が限られているので詳しくは書かないが、意図的と思われる報道を感じるときが数回あった。マスコミに動かされて行動する傾向のある日本の国民性に危うさを感じる。
     (人口による侵略) 今度の通常国会に「在住外国人に地方の選挙権を与える法案」を上程すると民主党の山岡国会対策委員長が鳥取で講演したと新聞に報じられた。在住外国人に選挙権を与える事に関しては国民の80%以上が反対している。また、民主党は党の基本方針の中には取り入れているが、今度の衆議院議員選挙の票が落ちる事を考え、マニフェストからはそれが削除され、選挙民の目に触れないようにされた。選挙に大勝した民主党の小澤幹事長は中国詣での帰途に韓国に寄り、大統領に「今度の通常国会で在外外国人に選挙権を与える法案を通す」と伝えている。地方裁判所でこのことは憲法違反であると判決を受けているとも聞いている。日本の国民の大部分が反対しているのに韓国大統領に法案を通すといっているのは日本のためでなく韓国のために法案を通すのであろうか。「日本の国土は日本人のためにのみあるのではない」と鳩山首相が言っていたことが気になる。この法案は在住韓国人のために作られるもののようであるが、広い視野で、もう少し国内で議論を尽くす必要のある法案であると思うし、もし与えるのであれば、選挙権を得るには高いハードルと義務を設け、適任者にのみ与える必要があるのではないかと思う。民主党の中にも反対の議員がいるし、自民党の中にも賛成の議員がいる。また、公明党は賛成している。
     日本国籍を持たない外国人に選挙権を与える事は本当に日本のためになるのか疑問に思う。特に或る意図を持った外国が長い年月を掛けて移民として送り込み、選挙という民主的な手段である国の意図したことを実現する事ができる。知らぬ間に意図する国の属国になり、意図する国の支配を受ける事になるのではないかと大変危惧している所である。この結果は現在直ぐに殆ど現れない。10年乃至30年後に現れる長期的視野によって判断されるべきものである。
     昨年夏に中国のウイグル自治区で暴動があったことが報じられた。中国政府の意図により、ウイグル人を広州の工業地帯に多数送り込み、その代わりに漢民族人をウイグル自治区に送り、ウイグル人の割合を薄めることを行っている政策がある。工業地帯に送られたウイグル人によって漢民族人の職が奪われ、漢民族人が職を奪ったウイグル人に暴行を働いた。この情報が出身地のウイグル人に伝えられ、この暴動は暴行の報復としてデモを行ったところ暴動に発展したということを知った。中国ではチベット等を含め自治区に対して中国政府の意向になびかせるため人口中和策をとっている。
     オーストラリアでは中国人が数年来多くの移民として入り、前回の首相選挙では、それまで親日派の首相に代って親中国の首相が選ばれ、それまで日本、インド、オーストラリア間で締結された協力体制がおかしくなっているということが伝えられている。
     世界の全ての国が日本国民と同じように相手を疑わない誠意ある良心的な国ばかりであればこのような心配をする必要はないが、国際社会は法を守らなくても強さが優先する社会である事はこれまで多く経験している。
     明治に初めての首相になった伊藤博文は長州藩が米英仏蘭の艦隊に攻撃された報を受けた時に英国留学を断念して帰国する際に「たとえここで学問をして業がなっても、自分の生国が滅びては何のためになるか」と述べている。この中の学問を文化、技術、芸術等に置き換えて広く考える必要があろう。
     以上二つの侵略が非常に恐怖心の強い人間の考える妄想であったと、数十年後笑って過ごせることになっていてほしいと考えるこの頃である。

    1件のコメント »
    1.  僕は、ここで話題にしているプロジェクト・ジャパンというのは見ていませんが、NHKの番組では、沢辺君が問題にしているようなことは、時々起っているようです。
       考えてみると、現在、世の中で活躍している世代は皆、戦後生まれです。戦後のあの教育をうけて大人になった人たちが、今の世の中を動かしています。
       思い出せば、戦後は、楽観的で単純な(子供じみたと言うべきか)、あのアメリカ的自由と民主主義を吹き込まれ、また、その一方では、帝国主義だの侵略戦争だのという歯の浮くような左翼教条主義に恫喝されたりした時代です。
       その上、現在は、分りやすく手短に説明できなければおかしいという風潮の時代ですから、彼らが、悪意がなくとも、yesかnoかを単純化した情報の処理をするのは避けられないことかも知れません。
       それに対して、僕らは、日中戦争勃発後に尋常小学校に入り、やがて、米が配給制になり、小学3年生のとき、大東亜戦争が始まり、学童疎開をし、旧制中学1年の夏、敗戦を迎えて、焼け野原になった日本に放り出された世代です。
       そして、あっという間に、それまでの価値観が逆転したのです。軍国日本の正義は紙屑のように吹き飛び、米国の自由と民主主義、そして、マルクス・レーニン主義を謳歌する価値観に変わりました。民主主義を唱えなければ人でないような軽薄な時代でした。
       結局のところ、そういう世の中のどんでん返しを見て青春時代を過した僕ら世代は、世の中の正義も価値も、相対的なものでしかないということを知ったわけです。
       物事を、そう簡単に割り切ることなど出来ない、何事も疑いの目で見、考えてみる習性が身についたのが、我々世代でしょう。沢辺君の恐怖感は、人によって多少形は違っても、僕らの世代に共通するものではないかと思います。
       実際、世の中のことは、右も左もあって、そう簡単に、こうだと決め付けられないのが現実でしょう。戦時中、外地で酷いことをした兵隊さんも居たでしょうが、献身的に立派な行いをして、現地人から感謝され慕われた人も多かったと思います。それもこれも、どこにでも居る普通の人間が切羽詰ってやったことかも知れません。
       しかし、どうも今の世代の人たちは、ああでもない、こうでもない、という複雑な歴史的現実を詮索して悩み、考えるのが苦手なのではないかと思います。面倒くさいと思うのでしょうか。
       そうしたことが幾重にも重なって、沢辺君の言うような一方的な報道が現れるのだろうと思います。
       僕の専門とする原子力の世界でも、NHKの報道やドキュメンタリー的番組で、事実誤認が頻繁に起り(これは、彼らが不勉強であるだけでなく、耳障りのよい、分りやすい説明だけを聞く癖があるためだと思いますが)、さらには、原子力批判派の意見だけが一方的に取り上げられるという場合も多く、仲間の原子力屋が、その都度、いらいらして、NHKに頻繁に抗議しているようです。
       少し長くなりましたが、沢辺君の慨嘆に触発され、日頃、思っていることを書きました。

      コメント by 武田 充司 — 2010年1月22日 @ 07:15

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