恐竜(肉食と草食と)/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2009年度, class1955, 消息)
ガイドツアーに参加しようとする子供たちに「何が一番見たい?」と尋ねると8割ほどは躊躇なく「恐竜」と返事をします。
この博物館で子供たちに一番人気があるのが恐竜。そして地下1階の展示室に案内すると早速「あれティラノサウルス、肉食ですごく強いんだ」、「あっちがアパトサウルス、首が長くて尻尾まで18mもあるんだ、1億4千万年前にいたんだよ」と目を輝かせながら口々に説明してくれます。私は「そうなんです。その通りです」と言っていればよいので大変ラクチン。
こうして子供たちは図鑑でみた1億年ほど前の化石を目の前に見、それが生きていた頃の世界を想像しながらわくわくしているのです。しかし一緒に来ているお父さん、お母さんは、猫がすっかり嘗め尽くしてイワシだかアジだかわからないようになった魚のような、骨ばかりの展示を見てもちっとも感慨は湧いてきません。そこで私の出番。図鑑から拡大してプリントしたアパトサウルス、ティラノサウルスなどの絵を見せながら、「この化石に服を着せるとこんな具合になります。草食のアパトサウルスは高い木の葉を食べていました。一方肉食恐竜のティラノサウルスは弱い恐竜を追いかけてこんな具合にやっつける」と子供の説明を補足。これで親御さんはやっと納得という顔をしてくれます。
なぜ今の子供たちはこんなにも恐竜にあこがれるのでしょうか。私たちの頃には恐竜の代わりに大型動物ではマンモス象が少年雑誌の話題になっていたと思います。ティラノサウルスが最も人気だというところを見ると、やはり絶滅した動物への郷愁というよりは巨人、大鵬と同じ類で、強いものへの憧憬なのでしょう。人気の一端は1993年に封切りされたスピルバーグ監督のジュラシックパークにあると思います。それまで想像の域をでなかった太古の様子が、絵ではなく恐竜の動作を含めたCG映像で私たちの目の前に展開されることになったからです。この映画ではプラキオサウルス、ヴェロキラプトルなどが活躍しました。
学問の分野で恐竜は竜盤目、鳥盤目に分類されますが、私たち素人には肉食恐竜と草食恐竜の別に着目したほうがわかりやすいようです。肉食恐竜は生き物、動くものを捕食するために敏捷で強くなくてはなりません。顎と歯は大変頑丈に出来ています(写真)。そして草食恐竜は同じ時代の敵、肉食恐竜からいかにして身を守るかに汲々としていました。ステゴザウルスのように身に鎧をまとい尻尾には鋭い剣を装備する。トリケラトプスは三本の角を研ぎすます。そして堅頭類のヒバクロサウルスなどは頭に鉄兜を被る。天敵に対抗する自然の進化というのが見事に見てとれます。
先日テレビに「草食男子、肉食女子、20代30代に増殖中」なんていうのがありました。なるほどそんな時代か。私たちも肉食上司、肉食女子からいかに身を守るかに苦労して生きてきたのかもしれません。肉食国家のいいなりになる草食国家。恐竜を喜んでいる男の子たちは将来のこんな運命を知っているのでしょうか。諸兄は肉食あるいは草食?
いま科博で開かれている大恐竜展にはアルゼンチンで発掘されたマプサウルス(肉食恐竜)の成体と幼体のペアなど、ちょっと毛色の異なったものが展示されています。
2009年5月4日 記>級会消息
うちの子供たちが小さい頃、コロラドのボウルダー(Boulder)に2年ほど住んだことがあるのですが、そのとき、子供を連れて、デンヴァー(Denver)の博物館で恐竜の化石の展示を見ました。
コロラド州は恐竜の化石が沢山見つかっている所だと聞いていますが、確かに、あの博物館の展示は迫力があったと記憶してます。子供たちも大喜びで、その後、日本に帰ってきても、長男は恐竜に熱中していました。まさに、斉藤さんの言うとおりで、図鑑を見ながら、実に詳しく恐竜の説明をしていました。
ぼく自身も、恐竜には大変興味があります。特に、恐竜が、実に長い間、地球上に生存していたことに興味をおぼえます。恐竜が絶滅したことよりも、あれほど長く地球上で繁栄し続けることができたことの方にこそ驚きを覚えます。と言うのも、わが人類は、到底、恐竜のように長く地球上に君臨することはできないだろうと思うからです。恐らく、地球上における人類の天下などは、恐竜のそれに比べれば、一瞬の輝きにしか過ぎないだろうと思います。
それにしても、斉藤さんの「草食国家」と「肉食国家」とは、言い得て妙ですね。そのうちに、草食国家の時代が来るかも?何しろ、肉食国家は生存のための餌が沢山必要ですから、狭くなった地球上では、直ぐの餌不足になって、飢え死にするのも早い?。
コメント by 武田充司 — 2009年5月4日 @ 22:24
私の孫達も恐竜が大好きのようです。幼い時には恐竜の玩具を買わされたものです。科学博物館の恐竜展の入場券を人から入手したので送ってあげたら、喜んで行ったようです。ひょっとしたら斎藤さんの説明を聞いたかも…知れません。
中林君の「CO2善玉論」や、沢辺君の「人口爆発が人類を破滅させる」の話、斎藤さんの「恐竜が絶滅した」話など、将来人類がこの地球上から消滅するのではないかと思い始めています。沢辺君が言うように人類の叡智によって、消滅させない知恵が出ることを期待したいものです。
コメント by 高橋 郁雄 — 2009年5月5日 @ 17:40