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  • ブルーノート・ジャズ/大曲恒雄@クラス1955

     本箱の整理をしていたら奥の方から「全ブルーノート・ブック」という本(資料1)が出て来た。すっかり忘れていたが、S.59/5/11購入とのメモ書きや赤鉛筆の書き込みなどがあり25年前の思い出が蘇ってきた。


     
     ブルーノートは1939年アルフレッド・ライオンが創始したレーベルである。若手、新進のジャズ・ミュージシャンに積極的に録音の機会を与えてレコードデビューさせ、結果的に膨大なレパートリーを持つ史上最大のモダンジャズ・レーベルとなった。
     
       ブルーノートには数多くの名盤があるが、小生の独断と偏見でベストスリーを選んでみると

    (1) クール・ストラッティン/ソニー・クラーク 
    ジャズ喫茶の盛んだった頃は店に入ると必ずと
    言っていいほどこの曲が流れていたものである。
    店に2時間ほど粘っていると、2回も3回もかかっ
    た記憶もある。
    (資料1)の解説によれば「アメリカの某ジャズ通
    に言わせると、日本はソニークラークを認め、
    愛した世界一質の高いジャズファンの国である」
    とのこと。確かに、当初ソニー・クラークは本国で
    は殆ど評価されずプレス数も限られていたが、
    そのうちの何枚かが輸入された日本のジャズ喫茶
    で大ヒットし、その人気が逆輸入(?)されて後に
    評価が見直されることとなったらしい。
    所で、ジャケット写真の“オミアシ”の持ち主が誰
    であるかが話題になったことがあり、確か結論が
    出たような記憶があるが、誰だったかは全然覚え
    ていない。
     クール・ストラッティンa.jpg
    (2) モーニン/アート・ブレーキーとジャズ・
    メッセンジャーズ

    某有名評論家が「そば屋の出前持ちが鼻歌に
    “モーニン”を歌った」と言ったように、このアルバ
    ムがヒットした頃、“モーニン”の出だしのメロディー
    は日本中に流れていた。
    日本に“ファンキー・ブーム”を引き起こした初の
    ジャズヒットアルバムと言える。
    ジャケット写真は“写真写り”という点では最悪で
    ある。真っ暗なバック、薄暗い所でしかも露出を
    極端に抑えて撮ったらしいアートブレーキーの顔。
    真っ黒画面に近い印象で逆に迫力があると言えば
    言えるが・・・。
     モーニンa.jpg
     (3) サムシン・エルス/キャノンボール・
    アダレー

    タイトル曲の「サムシン・エルス」(2曲目)よりは、
    1曲目の「枯葉」の方が有名でもあり、素晴らしい。
    印象的なイントロとマイルス・デービスのソロで超
    有名となった。
    実はこの演奏の別テイク(謂わば幻のバージョン)
    がネットで公開されている。アルバム製作の際
    OKの出なかったもので、ブルーノート設立70周年
    にあたりEMIジャパンが記念サイトを開設、未発表
    音源の無料視聴を企画して実現することになった
    模様。
    興味のある方は下記URLにアクセスされたい。
     サムシン・エルスa.jpg

    http://www.emimusic.jp/jazz/bnjf/special/kareha/index.html
     (資料1)によると、アルフレッド・ライオンはレコード化についてのこだわりが特別強い人だったようで、自分の気に入る録音が採れるまではレコード化を認めず何度も録音のやり直しをさせたらしい。その結果、会社の倉庫には未発表録音テープの山が築かれて行った。
    後に、この宝の山の“発掘”が進められ、幻のバージョンが日の目を見ることとなる(上記の「枯葉」もその一つ)。
     更に近年、“当時の録音を担当したエンジニア本人が最新のディジタル化技術を駆使して24ビット・リマスターリングを行う”という夢のような企画が実現し、2007年から「新・ブルーノートRVGコレクション」というシリーズが発売されている(資料2)。このシリーズでは、上記(1)は「クール・ストラッティン+2」、(2)は「モーニン+2」、(3)は「サムシン・エルス+1」として、それぞれボーナストラックが追加され発売されている。
     
     上記の3枚が録音されたのは何れも1958年、既に50年以上経っている。しかし上に述べたような新しい試みなどもあり、録音された時の生々しい雰囲気を味わうことが出来るのはジャズファンとして大変嬉しいことである。(資料2)には、録音エンジニア、ルディ・バン・ゲルダーの「ディジタル技術は日進月歩で進歩し続けているので、当時より現在の方が更に良い音になっているはず」とのコメントが紹介されている。
     今年はブルーノートがスタートしてから70周年にあたる記念の年、種々の記念行事が計画されているようで、ブルーノート・ジャズへの関心が一段と高まることが期待されている。
    (資料1)ジャズ批評 別冊「全ブルーノート・ブック」ジャズ批評社                      S.59/3/30
    (資料2)「ジャズ読本2009 SwingJournal 12月臨時増刊」スイングジャーナル社 H.20/12/15

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