トナカイ/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2008年度, class1955, 消息)
地球館を3階に上がると日本オオカミ、一コブ駱駝、バイソンなど大型動物のとても立派な剥製が並んでいます。
その数115体。私がこの科博でボランティアをしてみたいと考えた原点はこの動物たちと会話が出来るということにありました。ガゼル、オリックス、インパラなどの優雅な姿態を見ていると、これがサバンナを走り回る様子が想像されてとても幸福な気分になります。
ひときわ目立つ高いところに鹿科のなかで最も大きなムース(ヘラジカ)が立っています。顔はウマのようですが立派な平たい角には「何をのせてもいいよ」と言っているようなユーモアが感じられます。私が先年グレイシャー国立公園(モンタナ州)を訪れたとき、山奥のスウィフトカレント湖の中洲から、冷たい水の中を100mほどの対岸に向かって上手に泳いでいく大きなムースを見ました。すぐ上陸した所に行ってみましたが足跡も糞も見つかりませんでした。
シカの角はオスだけにある男性のシンボル。やはり大きなカッコウがいい角がメスにもてるのだそうです。ライバルを威嚇し、彼女を守るのもこの角の仕事。重い角を常時身につけているのはナカナカの“重荷”だと思いますが、交尾の時期が終わると林のなかでの生活に邪魔な角は落ちてしまいます。そしてまた翌年春になると角が生える。全く自然は上手く出来ています。
そのムースの下にトナカイがいます。サンタクロースの橇を曳くこの動物は子供たちに人気があって12月のガイドの目玉です。トナカイは鹿科の例外でメスにも角があります。オスは秋、11月末ごろには落角。でも橇を曳くトナカイに角がなくてはかっこうがつきません。そこで神様はメスに角を与え、その落角は翌年1月ごろまでおあずけになっているのだとか。ということはサンタクロースの橇を挽くのはメスというわけ!その間オスは育児、洗濯でもしているのでしょうか。ところで角のある動物を諸兄はどのぐらい知っていますか?写真は私の机上に置かれたムース。カナダのお土産で角の上に鳥の巣があります。
ご案内:今吉田光由から小平邦彦まで、日本の数学の足跡を辿った「数学日本のパイオニアたち」という展示をしています。小さい展示ですが数学好きの諸兄にはけっこう面白いでしょう。来年1月12日まで、65才以上無料です。
2008年12月8日 記>級会消息