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  • 専門家教育はこれで大丈夫ですか/武田充司@クラス1955

     僕は大学を出て数年間電力会社の現場で働いたあと原子力屋に転じ、それ以来、最後まで原子力発電の分野で過ごしました


    ので、電気屋としては最早全くの素人ですが、ずっと電気学会会員で、学会誌を購読しています。
     先日、学会誌の8月号(128巻8号)を見ていたら、「会員からの寄稿」という欄に、「日本語・英語の技術専門書出版体験から」という長谷良秀さんの記事に出会い、考えさせられました。今や、分厚い専門書を日本で商業的に出版するのが困難になっていることは理解していましたが、そうなると、高度な専門知識を身につけようとする日本人の学生も、アジアの途上国の学生のように、豊富に提供される英語の専門書を自在に読みこなして、実力をつけるしか道はなさそうですが、率直に言って、彼らにそれだけの英語力が備わっているのか不安に感じます。
     僕は、日本の原子力屋としては第一世代に属するので、当然のことながら、専門の知識は殆ど英語の原書で、しかも、独学で学びました。現場での仕事も、イギリス人と英語でやり、退職後は、海外支援の仕事で、ほぼ10年間、毎年、海外の大学や研究機関で英語で講義をしてきました。僕が教えた旧ソ連圏の国では、当時、とても下手な英語で熱心に聴講している多くの学生に出会いましたが、そうした学生が、数年後には、見事な英語使いとなって、僕を圧倒するではありませんか。彼らは、そうしなければ原子力屋として生きて行けないのです。それは、僕が、若い時に経験したことそのものでした。
     これからは、日本でも、高度な専門知識を身につけようとする日本人は全て、英語を自在に操る能力が必要となるのでしょうか。日本の出版文化の現状も心配ですが、日本の大学教育はどうなるのでしょうか。心配です。 (11月12日記)

    3 Comments »
    1. 必要性と意欲の問題と思います。必要が強ければ意欲も出てくるもので、若い人たちに期待しております。

      コメント by 沢辺 栄一 — 2008年11月24日 @ 10:17

    2. 武田充司様 
      長谷良秀と申します。インターネット検索で偶然にも‘でんきけい55’のpageに紛れ込ませていただき、その中で武田様に私が昨年学会誌に寄稿いたしました拙文を引用いただいていることを知り光栄かつ汗顔の至りです。厚くお礼申し上げます。 私は京都大学1960年卒で東芝に入社以来電力の仕事をしてまいりました。原子力でご活躍された吉島さん益田さん二は今も親しくしていただいております。
      武田様にはいつかご縁があれば原子力揺籃期の御苦労話などをお聞かせいただきたいなあと思っております。
      まずは突然ながらお礼申し上げます。
      長谷良秀 拝

      コメント by 長谷良秀 — 2009年5月8日 @ 00:10

    3. 長谷良秀様
       拙文に対するコメントを頂き、感謝しております。有難う御座います。昔のことですが、東芝の吉島さんや、益田さんとは、発電所のことで何度もお目にかかっています。現在、私は、ほんの2,3の原子力の仕事をしている程度で、半分足を洗ってしまった状態です。しかし、お役に立てることがありましたら、喜んで協力させて頂きたいと思います。よろしく。

      コメント by 武田充司 — 2009年5月8日 @ 21:53

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