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  • 大仏鉄道遺蹟巡り/西道夫@クラス1955

    奈良では、今「大仏鉄道遺蹟巡り」のハイキングが話題になっている。大仏とは勿論、奈良東大寺の大仏のことであるが、19世紀末に開通したこの鉄道について、先ず紹介しよう。   



    1. 歴史
    :関西鉄道(株)が明治31年(1898年)4月から運行開始した。区間は現在のJR関西線加茂駅から奈良市内佐保川の手前に出来た大仏駅までの約10Kmである。更に1年後に現在のJR奈良駅まで延長させた。その後、京都から奈良への鉄道が出来、一方、大仏駅は東大寺へ遠かったこと、線路の傾斜がきつかったために乗客が降りて列車を押して進んだ、などの理由で乗客も減り、結局9年後の明治40年8月に廃止された。
    2. 地形:加茂駅と奈良市街の間には三つの山がある。加茂駅から南南西を望むと、1Km程先に大きな山(鹿背山)がある。高さは大したことはないが、すそ野が広い。ここは傾斜が緩やかなので坂道で超す。次の山は傾斜がきつかったようで、蛇行した後三つのトンネルで抜ける。三つ目の山は更に急な傾斜の山なので、蛇行して更に360度のループで登った後、トンネルで抜け、やっと奈良の市街地に到達する。
    3. 遺蹟:ルート途中には橋やトンネル、線路の路肩などが構築された。現在もそれらが可成り残されている。他に照明用燃料を保管したランプ小屋、枕木利用の柵などもある。
    4. 建設技術:当時の日本では鉄道建設の技術は未だ育っていなかったのであろう。遺蹟には説明書きがあり、煉瓦積みの橋の台には英国やフランスの技術が使用された、などと記載されている。
    5. 遺蹟巡りハイキング:行き易さからは、JR加茂駅から歩くのがよい。ランプ小屋、SL、観音寺橋台、梶が谷トンネル、赤橋、松谷トンネル、鹿川トンネル、路肩跡などを見つけながら、大仏駅のあった場所の記念碑まで約12Kmを歩く。いわゆる鉄道廃線跡を歩くのとは異なり、線路跡が道路建設で消えたり、土地開発で山自体が無くなったりしているので、遺蹟の場所を見つけるのはそう簡単ではないが、奈良近郊の里山歩きの気持ちでのんびりと歩くことをお薦めしたい。
    6. その他:詳細は「大仏鉄道研究会」のホームページ(注)を参照されたい。これに遺蹟の写真や説明、地図、遺蹟巡り体験記などが出ている。加茂駅から鹿背山に向かうあたりでは、小倉百人一首の句を思い浮かべて頂きたい。
    「みかの原わきて流るるいづみ川いつ見きとてか恋しかるらむ」(作:中納言兼輔)
    「いづみ川」とは今の木津川のこと。「みかの原」とは山城国相楽郡(加茂駅などのある地域)の地名である。
     (注)http://www.eonet.ne.jp/~daibutu/

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