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  • もっと身近なナノテクへ/ 八井崇

     

    年末年始となると、親戚や知人と会う機会が増える。そのような会食の場で、「八井さんは一体どのような研究をしているのでしょうか?」と尋ねられると、一瞬どこまで説明するべきか迷ってしまう。

    私が携わっているナノテクノロジーを簡単に説明するのは難しい。家内は、私の仕事内容を聞かれると「ブルーレイの次にくるものを作っています」と答えているが、80点というところである。一緒に暮らしている家族でさえこの程度の理解度であるから、一般の人に分かるように説明するのは骨が折れることである。息子(8歳)には「大好きな『仮面ライダー』100話分が、一枚のDVDに収まるように研究をしているのだよ」と説明しているが、これは分かりやすかったようだ。

    先日、「世界最小の雪だるま」(イギリスの国立物理学研究所)の記事が朝日小学生新聞に掲載された。どのように書かれるのか興味を持っていたが、「顔の直径100分の1ミリ(人間の髪の毛の太さの5分の1)の世界最小の雪だるま」と解説されており、丁寧だと感じた。ただ、「ナノテクノロジーは10億分の1メートル以下の大きさの物質をあつかう研究分野で、情報技術や環境など広い範囲での応用が期待されています」という部分はいかがだろう。「10億分の1メートル」を想像できる小学生はいるだろうか。

    宇宙の広さは、子どもでもイメージしやすい。しかし、ナノテクノロジーという小宇宙を想像するには、もっと身近な例えに落とし込む必要があるのではないだろうか。例えば、「10円玉が1nmとすると1mは地球くらいの大きさだよ」と言ったように。

    宇宙と同じくらい広い世界がナノテクノロジーの世界にも広がっていること、それを未来を担う人たちに知ってほしいというのが、私の切なる願いでもある。そのために、出来るだけ分かりやすい言葉で、ナノテクノロジーの魅力を伝えていきたい。そして将来、宇宙飛行士に負けないくらいナノテクノロジーの科学者になりたいという子ども達がいてくれたらどんなに素敵だろうか・・・などと年初めからトラぬ狸の皮算用をしている。

    ナノサイズではありませんが息子が作った粘土細工です。

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