IEC中央事務局/池田久利
IEC(International Electro-technical Commission)中央事務局はスイス、ジュネーブのレマン湖から南側の山沿いにあります。初めて行ったのは12年前の1999年の6月でした。私はその年からSB1(Sector Board 1)の日本委員となったので、中央事務局の会議室で開催されるSB1会議に出席するのが目的でした。前日からジュネーブ駅の近くのホテルに宿泊し翌朝ホテルからタクシーで行きました。タクシーの運転手にIEC中央事務局に行ってくれ、と伝えたのですが、知らないと言われてびっくりとしました。私の英語を理解してもらえなかったのかと数回聞きましたが、だめでした。IECが発行する規格(Standard)だけが、電気に関する世界標準と認定されています。こんな世界的な機関の本部をどうして知らないのだろうと不思議でした。事務所の住所である通りの名前を告げると、タクシーはすぐに出発し5分くらいで到着しました。タクシーを降りると目の前がIECの本部ビルでしたが、あまり目立たないビルでした。考えてみれば、パリにある、世界大電力システム会議(CIGRE)の本部ビルもそうでした。
SB1の会議は、9か月に1回、原則として中央事務局の会議室で開催されます。原則としてというのは、どこかの国の招待がない限りということです。最近ではSB1の活動が注目され、前回がストックホルム(スエーデン)、前々回がニューデリー(インド)、その前がニューカッスル(英)と招待が続いています。最初のころはほとんどが中央事務局でした。日本から来るとジュネーブには夜中到着し、会議の翌日は朝早く別のところへ移動しますので、ジュネーブの街を探索することもなく過ぎていましたが、中央事務局には路面電車で行くのが便利だとわかりました。路面電車の行先はNationでしたが、これが国連本部を意味すると知ったのはしばらくしてからでした。中央事務局は国連本部に道路を隔てた程近いところに位置していました。また、ITU(International Telecommunication Union)のビルも近くにありました。ITUは通信関係の国際規格を扱っていると聞いていますが、ビルは高層で屋上に社員食堂があるので何回か利用しました。ジュネーブの街が見渡せる場所でした。IECより新しく立派なビルですが、ビルに入るときに、安全のためにパスポートを預けさせられました。
2005年2月には、IECの意思決定機関であるSMB(Standard Management Board)会議が中央事務局で開催された際、これに出席しSB1の方針を説明する機会がありました。2004年からSB1の議長になりましたが、新任議長に方針説明をさせるのが恒例のようです。説明時間は10分で、待ち時間を入れても30分程度でした。10分のために、東京からスイスまででかけるのは、さすがに効率が悪いと思いましたが、SMBが何をしているのかを知るよい機会でしたので、その意味では効果的でした。他の時間は自由でしたのでレマン湖のほとりを歩くことができました。このころから、中央事務局の位置がよくわかるようになりました。
SB1会議は今年5月に日本の招待で開催する予定です。場所は沖縄の那覇で、翌日に宮古島のスマートグリッド見学を予定しています。中央事務局でのSB1会議開催は来年以降になりそうです。