新任のご挨拶/小関泰之
平成25年4月1日付で電気系工学専攻の准教授に着任致しました小関泰之と申します。歴史と伝統ある電気系工学専攻の教員として研究・教育に携わる機会を頂き、大変気が引き締まる思いをしております。まず、この機会を頂くにあたりましてお世話になりました多くの先生方に厚く御礼申し上げます。
私は1999年に東京大学電子工学科を卒業した後、大学院に進学し、土屋昌弘先生のご指導のもとミリ波フォトニクスの研究に従事して修士課程を2001年に修了しました。その後、多久島裕一先生のご指導のもと光ファイバアンプ中の非線形光学効果に関する研究に従事し、2004年に博士課程を修了しました。その後2年間、古河電工株式会社において、科学技術振興機構のポスドクとして光ファイバによる光パルスの発生/制御/計測に関する研究に従事しました。2006年より、大阪大学大学院生命先端工学専攻の助教として、伊東一良先生のご指導のもと、超短光パルスを用いた加工技術や生体顕微鏡に関する研究を進めて参りました。2009年からは科学技術振興機構さきがけの研究者を兼務し、パルスレーザを用いた新しい生体顕微鏡の研究を進めました。この顕微鏡は生体を染色せず、リアルタイムに、かつ3次元的に観察できることから、特に医療分野への応用が期待されています。
このように私はこれまで様々な研究室に所属してきました。その中で、大変多くの先生方、先輩、同期、後輩、そして共に頑張ってきた学生や共同研究者から多くのことを学び、それが今の自分を形づくっています。嬉しかったこと、悔しかったこと、ご迷惑をお掛けしたこと、たくさんのことを糧にしつつ、学生としての自分の故郷であり、そして研究者としては新しい場所であるこの電気系で、これから更に新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。
もともと私はラジオ少年かつパソコン少年でしたので、将来のキャリアや就職のことなど何も考えず、自分の性にあうという理由だけで電気系に進学しました。今振り返ると、電気系で学んだハードウェアからソフトウェアにわたる広範な知識と技術は、研究を進める上のバックグラウンドとして大変役に立っています。とはいえ、それ以上に、電気系の文化である(と自分で思っています)、物理の本質を抽出して応用し活用する姿勢が、研究を新しい方向に進める上ではより重要であったように思います。この文化を大事にしながら、電気系の枠にとらわれずに、新しい研究分野を切り拓いていけるよう、精進していく所存です。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。