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  • Always Connected/杉本雅則

    先日、リオデジャネイロに出張した。BRICsの一角を担い、また2016年のオリンピック開催地として立候補しているだけあり、予想していたよりもインフラが整備され、また言われていたほどの危険も感じなかった。もっとも、学会会場がcopacabanaと呼ばれる世界的に有名な観光地(というかbeach)だったので、そのせいかも知れない。

    さて、問題は滞在したホテルである。最近は、海外でも大抵のホテルで(それこそ、motelのようなホテルでも)、無線LANが使えるようになり、日本といつもに繋がっている(connected)感覚を持つ。が、今回宿泊したのは、どちらかと言えば高級ホテルなのに、ネットワークが使えない。正確には、部屋でインターネットにアクセスできないのである。

    このホテルは個々の部屋からは、イーサーネットケーブルでインターネットにアクセスする。どうやら、そのハブに電気的な問題があるらしい。早速、ホテルで交渉開始。

    一日目夕方: 私: 「ネットワークが使えません。ハブの調子が悪いみたいです。直してもらえませんか。」
    ホ: 「わかりました。すぐ直しますよ。」
    二日目朝: 私: 「まだネットワークが使えないんですけど。」
    ホ: 「はい、technical staffに言っておきます。すぐに使えるようにします。」
    二日目夕方: 私: 「まだネットワークが使えません。早く直してくれませんか?」
    ホ: 「(またか、という顔をしつつも)分かりました。(technical staffに電話して)、これからすぐにtechnical staffに部屋に行かせますから。」

    で、(まあ、よくあることだが)最後まで直らなかった。ホテルのロビーでは、無線LANが使える。なので、結局メールをロビーでチェックすることとなった。しかし、電源コンセントがないので、長時間は使えない。自ずと1日1回だけのチェックとなる。

    で、いくつか気付いたことがある。まず1つ目。1日1度しかチェックしないので、自分が1日に受け取るメールの数が分かる。500~1000程度。しかし、ほとんどがspamメール(重要なメールがはじかれるのが怖いので、spam filterは使っていない)であり、読むべきメールは1~2割程度。つまり、この通信はノイズだらけである。

    2つ目。そのうち急ぎで返事をしなければいけないのは、さらにその1割程度の10~20件である。意外と少ない。

    3つ目。返事をしなければ、と思ったメールも、よくよく後のメールを見ると解決していたり、話が先に進んでいたりする。つまり、返事を書く必要がなくなっている。

    日本で職場に居れば、常にメールをチェックし、日におそらく50件くらいはメールを書いていると思う。ずいぶん時間を使っているに違いない(怖くて計れない:-)。

    そういえば、知り合いのとある先生は、夜中の2時にしかメールが来ない。また、かのKnuth教授は、メールもファックスも電話も使わないそうである。でも、さすがに「大先生」でもなければ、そんなことをするのも気が引ける。悲しいかな、メールを読んだらすぐに返事をしないと、と思ってしまう。

    遠く離れている相手からすぐに返事が来る時、技術がもたらす便利さ、ありがたみを改めて感じる。反面、かつては海外に居れば日本での喧騒など何処吹く風、であったが、今はそうもいかない。常に”connected”を期待され、また、そうあろうと行動する。たとえ地球の裏側でも。

    (杉本 雅則:新領域創成科学研究科基盤情報学専攻・准教授)

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