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  • 同窓会の現況と方向性/理事長 多田 邦雄

    昨2009年11月14日の総会にて東京大学電気系同窓会の理事長を仰せつかりました。前任の茅 陽一先生、佐々木 元様のもとに4年前から進められてきた、ICT (Information and Communication Technology) の利活用などによる同窓会の緊密化、活性化をさらに推進するために、微力ながら大いに努力したいと存じます。宜しくご支援ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

    東京大学工学部の電気系学科は、1873年からの工部省工学寮工学校電信科に端を発し、世界最古の大学電気系学科の一つといっても過言ではないとされていますが、同窓会も長い歴史を有しています。1957年5月、第21回同窓懇親会にかぶせて、同窓会発会式が挙行され、会員名簿の発行をそれまでの電気工学教室から同窓会に引き継ぎ、さらに同窓会報を刊行することを決めたそうです。同窓会が現在の基本形態に正式組織化されてから半世紀以上が経過したことになります。

    ご承知のように、東京大学でも近年、Alumni、Alumnaeとの連絡緊密化をはかるべく、卒業生室を設置し、各種刊行物の配布、毎年11月第2土曜日のホームカミングデイを始めとする各種行事の通知メール配信その他同窓会事業に力を入れていますが、その担い手の中心として、各同窓会の連携連絡のための連合体である赤門学友会が結成されています。いわゆる、「東京大学コミュニティの育成と発展を図る全学同窓会ネットワーク」であります。我々の電気系同窓会も加盟していますが、加盟同窓会の中で、会員数では、経友会(経済学部)、法学部同窓会に次いで上から3番目だそうです。電気系同窓会の現会員数は6628名(亡くなられた方を加えると8480名)であります。東大全体の卒業者数(現存者)は約20万人といいますから、電気系同窓会は全東大の1/30の大きな存在ということでしょうか。

    質の面で比較しても、我々の同窓会は、その専門分野にふさわしく、ICTの利活用において最も先進的な位置にあります。他の同窓会から参考にさせてほしいというお話も色々あるようです。まず、情報交流基盤としての同窓会ホームページは、半年前にページを全面更改し、コメントなど双方向機能を充実、クラスブログ、会員ブログとの連携を強化しました。またメールマガジンは一斉メール配信で、毎月に最新情報や主要情報をお届けしています。クラスブログは、28のクラスにて開設済で、ご覧頂ければ判りますがクラス1955が最も熱心に活動されているようです。その他、コンテンツ充実化の第一歩として、歴史アーカイブページ「セピア色の三号館」を開設し、第一陣はクラス1944で編纂された「電波報国隊」、第二陣は去る5月の「三号館お別れ見学会」関連が収録されています。シニア会員をはじめ会員各位からの貴重なご寄稿をお待ちしておりますし、若手会員にも是非読んで頂きたいと考えております。

    このような同窓会報のオンライン化による内容の拡充と即時化に合わせて、従来のA5紙版による同窓会報は2007年のNo.51が最終号となり、代わって2008年、2009年にはWeb縮約版が刊行され、ご希望の方々に配布されました。このような紙版も残す方式は当面継続することになっておりますので、入手ご希望の方々はどうぞお申し出ください。

    名簿のオンライン化については、便利で良くできた名簿システムを導入し、2009年4月から検索機能を会員のみに公開しておりますが、現在までのログイン数が3000回程度、記載データの修正ご申告が650回程度に留まっているようなので、会員へのより一層のPRを図ることとなりました。なお、紙版の会員名簿は個人情報保護法との関係で数年間刊行を見合わせておりましたが、昨年より実費頒布の形で刊行が再開され、本年はさらに改良して近く刊行の予定であります。

    このようなICTの利活用による同窓会の緊密化、運営合理化の課題だけでなく、若年層会員から見ても同窓会を魅力的にするにはどうすべきか等の基本的な諸問題までにもわたる検討チームとして、4年前から「電気系同窓会活性化ワーキンググループ」の方々が活動しておられます。これはボランティアと同窓会理事・幹事の方々のいずれも中間世代を中心とする20名ほどの会員の集りで、時には理事会の実動部隊的役割も担って頂いております。感謝と共にここにご紹介する次第です。

    このようなWEBを梃子としてのソーシャルネットワークないしはコミュニティの形成、換言すれば、同窓会員間の顔の見える関係づくりは、ここ4年間ほどで新たに始まって進展してきた出来事ですが、それだけではやがて限界に達する心配があります。一つには、電気系の会員でも、インターネットは好まないという方々も存外多いようです。他にも色々と心配の理由はあると思いますが、その一つには、同年代の、つまり同じクラス内での横方向のネットワークは強化されても、年代を越えての縦方向の関係にはやはり敷居が高いという、いわば根本的な問題もあるかと思います。そこで、年代を越えたコミュニティを形成するために、地域的な支部結成や、趣味やホビーで集まるサークル、同好会などが考えられます。

    まず支部については、同窓会会則の第3条に「本会は、必要により理事会の議決を経て、地方支部を設けることができる。」とあります。地域的な懇親連絡組織は既にいくつかあるのではないかと想像しますが、地方支部にしたいというお話はまだなかったようです。支部といっても堅苦しいものでなく、理事会に相談さえしておいて頂ければ、同窓会ホームページに支部ブログを設けて利用して頂くことなどが可能です。このようなことを昨年11月総会の就任ご挨拶で申し上げたところ、早速、名古屋を中心とする「銀杏電友会」から(東京大学電気系同窓会東海支部)とも名のることにしたいとのお申し出があり、支部第1号となって頂くことが先日の理事会で議決されました。さらに国内のみならず、海外にも支部ができたらよいのではないかとも考えています。

    趣味やホビーを中心に集まるサークル、同好会は、運動会系のものまで含めて、色々なものがありうると思います。たとえば、電気系同窓会の山の会とか、俳句の会、囲碁クラブなど、熱心な発起人が居られれば、同窓会WEBを利用して、その上に展開できるのではないかと存じます。もっと研究会的なものもということであれば、前記の歴史アーカイブページに関連付けて、例えば技術史アーカイブ部会、その中に半導体分科会、コンピュータ分科会などなどを構成して活動していただければ、既存学会の同種の活動を越え得る潜在ポテンシャルを我々の同窓会は持っているのではないかとも考えられます。

    以上、同窓会の取り組みの現況と方向性につきまして、かいつまんでご報告すると共に、多少の私見と提案も述べさせて頂きました。インターネットの利活用を中心とする同窓会の緊密化、活性化をさらに推進することが当面の中心課題であります。そのために、実は重要なことの一つであり、かつ会員各位のご助力を頂かなければ達成しがたい会員連絡先データ整備について、最後に具体的お願いを申し上げて本稿を閉じたいと思います。現在、毎月のメールマガジン一斉配信は現会員の半数余りの方々にしか送られていない状況です。メールをお使いの会員はずっと多い筈でありますから、各クラスの評議員、クラスブログ管理者、クラス幹事などが把握しておられるメールアドレスを事務局に頂ければ助かります。ご本人の意向を確認し、メールマガジン一斉配信先に加えたいと存じます。さらに元留学生の方々を中心に行先不明者もかなり多いので、級友あるいはお知り合いから、連絡糸口となる情報を頂ければ幸いです。現住所不明者一覧は、名簿システムに載っていますので、同窓会ホームページから会員サービスページにパスワードでログインしていただければ、ご覧になれます。そして現住所不明者についての糸口情報を事務局に頂ければ、その取り扱いには十分に注意し、当然ご本人の意向を確認してから、メール配信や名簿整備に進むように致します。

    このような事務上のことに限らず、より大局的な問題点なども含め、同窓会へのご意見ご要望ご提案を理事会メンバーあるいは事務局へお寄せ頂ければ、大変有難く存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

    (1960年電気卒、東京大学名誉教授、金沢工業大学教授)

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