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  • 近頃思うこと(その44)/沢辺栄一@クラス1955

     1964年(昭和39年)の東京オリンピックは晴天に恵まれた10月10日に開会式が挙行された。

     そのオリンピックでは私の造った長距離映像中継装置を用いて自衛隊の援助も受けて初めてマラソンの無中断中継を行なったこともあって、日本でオリンピックを開催する場合は10月であると思い込んでいた。

     数年前、次の東京オリンピックを2020年の夏に実施することがTVで発表された時直ぐに、馬鹿な決定をしたなと思った。JOC委員会はどうなっているのだろうとその判断に唖然とした。委員の中に一人も反対する委員は居なかったのだろうか、何故、東京の夏の暑さに関して選手、観客のことを配慮しなかったのであろうか。素人ながらその理由を推測すると、夏休みなのでボランティアが得られ易いとか、観客が多く来てくれるからであるとかと考えられるが、運営上の利益からの判断で決定したものであろう。

     話は飛ぶが、今年はアポロ11号により宇宙飛行士が1969721(日本時間)に月に着陸してから丁度50年になる。各要素の役割分担とそれぞれの要素を総合的にまた完全に上手くまとめ、ミスや抜け、見落としが無く、全体としての目的を達成するシステム工学により、300万個の部品、40万人の担当者を用いて成功したアポロ計画に驚嘆し、日本でもシステム工学やシステム的な考えが社会システムまでに及ぶ広い分野で採用され始めた。私自身もシステム工学の勉強をし、人間は局部的なことに目が奪われがちであるが、常に全体を最適化することを学んだ。

     システム的な考え方の発生期から50年近くも経過し、そのような考え方も衰えてきているのが現在であろう。オリンピック委員会の決定はこのシステム思考の欠如の結果であると思っている。昨年になって東京の暑さにやっと気が付き、マラソンのスタートを朝にすることにした。最近になって対策として考えられたマラソンコースの路面温度を下げるための遮熱性舗装を施工中であるが、赤外線を多く反射させる方法を取っているので、当然のことながら、表面の温度は10度下がったが、地表50cm、1mでは逆に温度が高くなった研究結果が出ているとのことである。マラソンには給水所を多く設置し、また、ポリ袋に砕いた氷を詰めた「かち割り氷」を用意するなど暑さ対策を講じている。今年8月初旬に行なわれたボート競技のテスト大会で日差しを遮るものが無いため観客が不満の声を上げた。ミストシャワー(噴霧器)が用意され、観客に冷却剤も配布されたが余り効果が無いとの報告である。大会組織委員会は屋根の無い部分に降雪機を置き、競技の合間に人工雪を降らすことを決めたとのことである。

     以上のようにちょっとしたシステム思考の不足、気配りの不足により、思わぬ対策を新たに講じなくては済まない状態になっている。いつも抜けの無いシステム思考が行なわれることを望んでいるが、それよりも今回の夏の実施決定により熱中症で死者が出なければと案じている。もし、選手、観客から一人でも死者が出たら間接的な殺人になるのでJOCの委員は全員総辞職し、他の公的職業にも就いてはならないのではないかと思っているところである。

    1件のコメント »
    1. 前回の東京オリンピック、私はオーストラリア放送ABCの音声ミクサーとして開会式前日から閉会式まで毎日メインスタジアムにいました。アベベのマラソン、夜遅くまで結着のつかなかった月夜の棒高跳びなど印象深いシーンがいまでも瞼に浮かびます。その折は気候のよい秋盛りの10月10日から。今回の夏という時期の設定は大スポンサーである米国放送局の強い意向と聞いていますが、それを受けるほうもただただやりたいだけの経済優先。そして昨日は都も知らずに急にマラソンと競歩は暑さを避けて北海道にと!どうなってるのでしょうネ。

      コメント by サイトウ — 2019年10月18日 @ 10:50

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