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  • 暮れと正月/武田充司@クラス1955

      「明けましておめでとう御座います」といっても、これを書いている今はまだ年末だ。しかし、この原稿がブログに出るのは元日だから、こういう出だしにして・・・。

    $00A0  とにかく、昔から年の暮れは忙しい。だから師走というのだよ、と子供のころ教えられた。$00A0暮れになると、どの家でも天井の煤払いをやったり、近所の人が集まって餅つきをしたり、女の人は台所で朝から晩まで御節料理の煮物をしたりしていたものだ。
      子供だって手伝いをさせられて、風呂の水汲みや家中の雑巾掛け、少し大きくなると神棚の蝋燭立ての真鍮磨きなどをさせられた。それでも、これから何か楽しいことがあるという期待感で浮き浮きした気分であった。それは、お祭りの前の準備に追われている時の気分と同じだ。
      そして、年が明けて元旦になると、すべてが綺麗に整って、澄ました感じになってしまうから不思議だ。そうなると、期待していたものがやって来たという満足感と、玉手箱が開いてしまったあとの呆気なさみたいなものが漂って、それはそれで楽しい。
      しかし、大人になると暮れはやることが多くて疲れる。年が明けると、やっと落ち着いて数日はのんびりできるから、まあ、暮れより正月のほうがよいか、などと思案する。
      ところが、年をとった今は、暮れになると、「やれやれ、今年もどうにか無事に終りそうだなあ・・・」と安堵するが、正月になると、「今年も無事に年末を迎えられるかなあ・・・。途中で幕引きになるんじゃなかろうか・・・」なんてことが脳裏をかすめ、あんまり楽しくはない。これが新年を迎える年寄りの本音といっては身も蓋もないが、とにかく、皆さん、今年もよろしく。
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