鯉のぼりとチョコレート/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2012年度, class1955, 消息)
上野の森も冬景色。まっ黄色だった銀杏も葉がほとんど落ちました。
都立美術館で開かれている総合写真展に大曲さんの写真が入選しているとのご案内を頂いて足を運びました。改装なった美術館の1階と2階の展示室にたくさんの応募写真。大曲さんの作品は「キュークツー!」と題して地元横浜での撮影。背後にがっちりした高層ビルが見えるアーケードに十数匹の鯉のぼりがきゅうくつそうに体を接してぶら下がっています。アーケードを吹き抜ける風が揺らしている両側の小さい鯉のぼりのわずかなゆらぎとビル群の剛との対比が見えて楽しく面白い構図です。直線で構成されているビル群のなかに観覧車の輪の一部が覗いているのも作者の繊細な心遣いだったのでしょう。
いまの季節に鯉のぼりの写真を見るのはちょっと違和感があり、この写真を夏場五月に見たらもっと清涼感があって良い評価があったのではないでしょうか。準大賞のなかに「鯉のぼり」と題した作品がありましたが同じモチーフなら大曲さんの作品のほうがずっとよいと思いました。次回のさらに大きな賞を期待しましょう。
写真も昔は暗い現像部屋の赤いランプの下でゴソゴソと仕事をしていたものですが昨今はほとんどデジカメ。解像度も色彩もよくなったうえに構図もパソコンで様々な加工ができますので、この会に展示されている作品の様子もずいぶん多様になりました。ひょっとすると大曲さんの作品もビルと鯉のぼりを合成した?なんて考えてもみました。
ことのついでにすぐ隣の科学博物館で開催されている特別展「チョコレート」を覗いてきました。お酒に弱い小生にとってチョコレートは大好物。チョコレートの本場ベルギーに行ったときには日本でも名が売れていて、この頃はどこのデパートにも店を出しているGodivaなど沢山のショコラティエールに立ち寄りましたが、これも皇室ご用達と銘打ったノイハウスの味には目を、いや舌を輝かせてあじわったものです。
しかしチョコレートの原料となるカカオの実が、直径15cmほど長さが30cmあまりもある小さなラグビーボールのようなものとは知りませんでした。この中にカカオミルクの原料となる種が入って、それを取り出して発酵、焙煎の上チョコレート加工がされます。栽培されているのは南北回帰線に挟まれた熱帯地方。これはコーヒーと同じようですがカカオはそのベルトのなかでもかなり限られた地域。アフリカのコートジボワール、ガーナ、ナイジェリアなど象牙海岸、黄金海岸と呼ばれるギニア湾に面した国々とインドネシア。病虫害に弱いこの木はなかなか栽培が難しいようです。
カカオの木はハイビスカス、フヨウなどと同じアオイ科。コーヒーの木は実が赤いからアカネ科。どちらも飲料として始まったものですが、どこか似ているようで似ていない二つの嗜好品です。昔はチョコレートを食べると鼻血が出るなどと言われましたがあまり根拠はないようで、むしろ血圧降下、コレステロールの低減、血管の拡張による循環器疾患のリスク回避に有効だそうです。それならたくさん食べることにしようと決めました。
皆さんも健康のためにチョコレートをどうぞ。この特別展あまり科学に走らずにチョコレートを栽培から製造、歴史、飲み方までそろえた幅広い内容で、この一日、二つの展覧会をハシゴして楽しく帰宅しました。
2012年12月16日 記>級会消息
斉藤兄へ
総合写真展に展示された小生の写真を見て頂き、また大変好意的なコメントを寄せて頂き有り難うございました。あのタイトルは、十数匹の鯉のぼりが「ナビオス横浜」のアーケードに吊り下げられ、いかにも窮屈そうに泳いでいるのを見て思いついたものです。
確かに、ご指摘通り師走に鯉のぼりの写真というのは違和感がありますが、今回の写真展の規定テーマが「春夏秋冬」だったのでそのまま出品したものです。
コメント by 大曲 恒雄 — 2012年12月15日 @ 21:58