天駆けるトランプ ~航空会社の栄枯盛衰~/森山寛美@クラス1955
記>級会消息 (2012年度, class1955, 消息)
一人旅シリーズにもう一つ付け加えるテーマが見つかった。
その昔,各航空会社は飛行中の慰みにとトランプを用意していた。キャビンアテンダントに要求すれば手に入ったものである。これは約30年以上前の話であるが,それ以降は航空会社の経営が苦しくなったためかトランプが手に入らなくなった。このところ空の旅に縁遠くなったので,今でも航空会社がトランプを用意しているかどうか定かではない。当時は,このトランプを集めるのが一人旅の楽しみの一つであった。
最近このコレクションを見直してみたが,なんと54種類,97個のトランプが集められていた。1フライトで1個として,よく天駆けたものである。アメリカ内はAtlantaを中心によく飛び回っていたのでアメリカのものが多く,特にAtlantaをベースとしているDelta Airlinesは,運航都市シリーズを出していたので21種類と断然多い。
これらトランプを用意していた航空会社の現状をインターネットで調べていて気が付いたのは,航空会社の栄枯盛衰である。かつてアメリカに行くのによく利用していたPan Amは消滅してしまったし,アメリカの主要航空会社であるDelta Airlines,American Airlines,United Airlinesはいずれも連邦倒産法第11章の,日本のJapan Airlinesは会社更生法の適用を申請しており,DeltaやJapanは復活したが,UnitedはContinentalと合併,Americanは未解決で運行中である。またアメリカ内の中小航空会社,TWA,Eastern,Western,North Central,Braniff,Ozarkなどは消滅または吸収合併されてしまっている。栄枯盛衰が特に激しいのは,多くの航空会社があったアメリカであるが,アメリカを除いた欧州やアジアの航空会社は,各国に1社(British Airways,Lufthansa, Airfrance, Alitalia, Chinaなど)または数か国に1社(Scandinavian Airlines)といったこともあり,あまり変化はないようである。コレクションの中にLufthansa, Airfrance, Alitaliaがないのは残念である。
また,トランプのメーカーに着目すると19社が供給しており,スペードのエースや切札に特徴がみられる。面白いのはBritish Airwaysのトランプで,1919年から1983年まで64年間の運行機体が表面に印刷されている。これを眺めていると,この間の機体の移り変わりがよく分かる。中には世界初のジェット旅客機で,金属疲労が原因の空中分解事故を起こしたDe Havilland のDH.106 Cometや,イギリスのBACとフランスのシュド・アビアンシオンなどが開発した唯一の超音速旅客機Concordeのような懐かしい機体がある。
これらのトランプをビデオ風にまとめてみたが,来し方のフライトが走馬灯のように思い出される。
2012年4月16日 記>級会消息
こんなカードがあったとは知りませんでした。素晴らしいコレクションです。図柄も各社特徴があって面白く、一度本物を拝見したいです。昔はパンナムがけっこう幅を利かせていたものでした。機種の変化も面白い。787に乗ってみたいと思っていますがまだ。いつごろまでだったでしょうか、日付変更線、赤道、北極を通るたびに証書をくれました。
コメント by サイトウ — 2012年4月18日 @ 08:38
小生も昔の航空会社がカードを用意していたとは全く知りませんでした。デルタ航空の運行都市シリーズのカードを拝見して、Las Vegas だけは訪れたことが一度も無いことを発見しました。米国各地を訪れたのは大半が出張であったので、当然かもしれません。
航空会社の栄枯盛衰には改めて驚きました。 Pan Am には最初に搭乗して以来大変お世話になりましたが、いつの間にか消えてしまいました。また、NEC の最初の米国出張所は、ニューヨークの Pan Am ビルの中程に1961年に事務所を構えており、小生は1962年に訪れました。
これまで搭乗した珍しい機種は、アエロフロート・ロシア航空のSU-582,579 便です。機種名の記録は残っていませんが、胴体の後方両側に2個ずつ4個のジェットエンジンがついた大型機でしたが、乗り心地は意外に快適でした。
コメント by 大橋康隆 — 2012年4月18日 @ 11:10