アッペンツェル/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2011年度, class1955, 消息)
ワインと言えばチーズ。このごろはどこのデパートにもチーズコーナーがあって様々なチーズを味わうことが出来ます。
私が初めて意識してナチュラルチーズに出会ったのは60年代後半でした。フランス郵政省の部長にブルターニュ地方の衛星通信施設を案内して頂いた帰り「昼は僕の家で準備してあるから」と、パリの西郊、車で30分ほどのところにある丁度日本の公団住宅といった集合住宅のお家に招かれました。といっても入ってみるとメードの部屋も含めて5LDKの大きなお宅。奥さんがバルコニーに昼食を準備して待っていてくださいました。メインディッシュが終わって「ムッシューサイトウ、チーズ食べるだろ」「ハー」「フランスじゃあチーズのない食事なんて太陽の出ない一日のようなものだ」
7種ほどのチーズを盛った大きなチーズボードが食卓に出されました。初めて見る様々なチーズ。私はちょっと困惑気味に、でもなんとかなるさと3種ほどのチーズをカッターですこしづつ切って自分のさらに分けたところ「ムッシューサイト―、そのチーズそんなに食べれる?結構辛いよ」今更引っ込むこともできずに件のブルーチーズをしっかりと食べましたが、いやその辛かったこと。
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2000年の6月、サンモリッツで車を借りてイタリア国境に近いベルニナ峠、ディアボッレツァなど雪の残る山をあるき歩きながら数日を過ごしました。それからジュリア峠を越え、リヒテンシュタインでパスポートにスタンプをもらって昼食をし、アッペンツェルの街に着いたのは3時半ごろ。6月というのにえらく暑い日でしたがこの国はレンタカーにもホテルの部屋にも暖房はあって冷房はないという始末。昨日は雪なのに今日は暑い暑いといいながらシャワーを浴びて外にでました。ここは観光ルートにも入っていないスイス山間の何の風情もないほんとに鄙びた人口6千の街。しかし16~17世紀に建てられた独特の切妻屋根の家が沢山残っていて、壁には絵が描いてあり、こうしたものを眺めながらの散歩の楽しみは尽きません。夕方になると市というよりは夜店がたち、そこに沢山の地元の人たちが集まってきて話をしたり、騒いだり。まことに素朴な雰囲気です。産業はレースや織物、それにカウベルの飾りなど地元の特産品。それよりも酪農の地でアッペンツェルチーズの地元なのです。
翌日チーズ工場を見学。ホントウは一般農家のチーズつくりを見たかったのですがうまいところが見つかりませんでした。アッペンツェルチーズはハードタイプ。凝固しだしたカードをピアノ線を張ったようなカッターで切り、あと圧搾してホエを絞り出し熟成にかけるのはどのチーズも同じですが、アッペンツェルチーズは熟成中にスパイス入りのりんご酒と白ワインの混合液に漬けるのが特徴。ちょっと苦みのある独特の味がします。棚に並んだ熟成中のアッペンツェルチーズは壮観。お値段は三大ブルーチーズほどではありませんが普通のチーズよりはややお高め。食する人が少ないのかアッペンツェルを置いてない店もありますが、その大人の味をぜひ味わってください。
スイスでチーズと言えば穴の開いたエメンタールが有名ですが、グリュイェールはフォンデューに欠かせません。フランスでのことでしたが、夕陽に白い雪が次第にオレンジから青へと変わっていくモンブランを見ながら、プラリオンの山小屋で食べたフォンデューは思い出すといまでもゾクゾクするほどの美味でした。もうひとつ、茹でたアツアツのジャガイモの上に削り落すラクレットの素晴らしい味もすばらしい。これはグリンデルヴァルトなどでの思い出です。チーズは蛋白質もミネラルも豊富。健康のためにぜひ沢山食べてください。
2011年10月11日 記>級会消息
アッペンツェルチーズのお話を興味深く読みました。私は未だアッペンツェルを訪れたことがありませんが、素敵な町の様ですね。
6月は暑いのに冷房がないというお話は、私もジュネーブで経験しました。1968年から数年間、ジュネーブのCCITT(国際電信電話諮問委員会)に出席しましたが、最初の頃は現在の立派なITUの建物はなく、「Maison des Congris」で会議が行われていました。ある年、6月に開催され、その暑さには閉口しました。一年間に一週間位暑いそうですが、その一週間の為に冷房を入れる必要はないと言われました。
出席間もない頃、折角スイスに来たのだからフォンデュを賞味しようと、日本人出席者仲間でレストランに行きフォンデュをオーダーしました。レストランの方が驚いて「本当に食べられるのか。日本人は大抵食べられないよ。」と親切に忠告してくれましたが、「大丈夫。」と返事をして、初志貫徹して完食しました。
コメント by 大橋康隆 — 2011年10月12日 @ 20:58