Ladies In Milano/森山寛美@クラス1955
記>級会消息 (2010年度, class1955, 消息)
前回のQueen's English in Parisと同じく30年以上前のことであるが,一人旅ハプニングの続編である。
今回の舞台は,イタリアはMilano,ITALTELの研究所を訪問したときの話である。
旅行中には色々な人に会うが,その人が信用できるかどうか,被害にあうリスクがあるかどうかの判断はかなり微妙である。Milanoには,1386年に最初の石が置かれ1813年に完成したという,かの有名なドゥオーモ(写真1)がある。 | |
写真1
|
見学のため中に入ったが,何かが一張羅のスーツに当たった。通りかかった若い女性が二人,声をかけてきて背中に何かついているという。一先ずカメラを横において上着を脱ぎ,触ってみるとべたべたした漆喰らしいものがついている。かの若い女性がティッシュを取り出し,漆喰を取り除くのを手伝ってくれた。この女性達に「故意に付けられた漆喰」というリスクを感じないわけではなかったが,幸いなことに,若い女性は親切な二人で横に置いたカメラは無事であった。ケン・フォレットの小説「大聖堂」を読むと,切り出した石を漆喰で接着しながら積み上げていく場面が出てくる。当時ドゥオーモは修理中で,この異物は工事中に落下した漆喰だったようである。そういえば,堂内には櫓が組まれていたように思う。汚れたスーツはホテルでクリーニングしてもらい事なきを得た。
週末はMilanoで過ごすことになったが,夕食でもと街に出た。喉が渇いたのでビールでも飲もうと,とある酒場らしい店に入った。日本やアメリカで見る瓶ビールや缶ビールは見当たらず,水槽らしきもので冷やしてあるイタリア式の小瓶のビールがあり,英語が通じなかったが,イタリア語の「ビエール」で入手できた。これで喉の渇きを癒していると,イタリア語のざわめきの中から英語が聞こえてきた。見るとご機嫌な小母ちゃんがこちらを手招きしているではないか。その席に移動してお相手をするはめになった。この小母ちゃんはアメリカ人で,ミラノで英語の教師をしているらしい。日本にも興味があり,日本にいって英語の教師をやりたいので大使館に紹介してほしいとのことであった。かなりご機嫌な小母ちゃんの言う$00A0ことなので真面目に相手をするのは憚られた。この週末の時間つぶしに適当な場所はないかと聞くと,コモ湖がいいという。北駅から10時に電車が出るので,それに乗れとのこと。
夕食時だったが,近くのレストランに案内してくれ,そこで一旦別れた。イタリア式のレストラン(リストランテ)では材料を見せるのが普通であるが,肉が山のように積んであり,そこから欲しい肉を選んで焼いてもらった。食事をしていると,さっきの小母ちゃんがやってきて,食事に付き合うはめになった。食事も終わり,会計をする段になってレジに行ったが,小母ちゃんは少し小銭が足りないという。安い食事だったので,まあいいかということで穴埋めをしてあげた。これが確信犯だったのかどうかは分からなかったが。
翌日は言われた通りに北駅に行き,コモ行きらしい電車に乗った。発車のベルもアナウンスもなく電車は発車したが,無事コモに到着。コモ湖(写真2)を楽しむことができた。 | |
写真2
|
前回は一人旅の楽しさを主に書いたが,一人旅には不便なことやリスクもある。何れにせよ,Milanoでは一人旅の楽しさとスリルを味わった。
$00A0
2011年1月26日 記>級会消息
海外の一人旅の楽しさとリスクを紹介して下さり感謝しています。毎回様々な女性に恵まれておられるようで感心しています。今後とも続編を期待しています。
小生もMilanoへは数回訪れたことがありますが、一人旅は1962年の最初だけで、後は男性グループでした。定年後、2001年8月に家内と訪れた時、初めてDuomo寺院の中を見学し、高い所に上って景色を眺めました。またこの時、日本から予約して旧ドメニコ派修道院で「最後の晩餐」を初めて拝観しました。
Como湖は素晴らしく眺めが良い所で、実は今年7月に開催される新構造展に、50号の油絵「コモ湖畔」を出展したいと準備を進めています。
コメント by 大橋康隆 — 2011年1月26日 @ 20:08