日本の周りにいる魚/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2010年度, class1955, 消息)
日本国は太平洋の西の端に浮かぶ島国。幾つの島から出来ているか
ご存知でしょうか。
その数6,852。島とは周囲が100m以上のものを言います。黒潮、親潮に恵まれ、多数の海の動物たちが私たちの生活を彩ってくれています。
日本館の3階南翼の展示「豊かな海」には親しみのある近海の魚が並んでいます。
ここ、水のない水槽の水面に浮かぶのが北海道から沖縄までの日本列島。展示の位置で魚のおよその生息域が分かりますし、0mから800mまで下にいくほど深いところにいる魚が置かれています。ちょっとグロテスクなカサゴの仲間アブラボウズの下にいるのが大きな目と口をしたアカムツ。鯛の仲間(スズキ目)で、太平洋側福島沖辺りが漁場です。この魚、白味でなかなか美味しいのです。昔は安かったようですがこの頃は結構なお値段。そして伊豆半島沖水深500mのあたりにタカアシガニが大きな足を広げています。こんなカニが東京の近くに?と驚く方も多いのですが、相模湾、駿河湾が急に深くなったところに住居を構えています。
私の好きなのが九州のあたりに置かれているホウボウ。カサゴの仲間で赤味の体に夕涼みの団扇のような大きな胸鰭が目立ちます。この鰭で水深100mほどの砂地をホウボウ歩くのでsand fishとも呼ばれ、釣りの好きな方であればこれを見ながらアタリの触感を感じてワクワクするところでしょう。沖縄のあたりに来るとモモイロサンゴ、シロサンゴなど珊瑚が目立ちます。
日本海側に回って玄界灘のあたりの比較的浅いところ、水深50mに鰤がいます。生息域は広く、大きくなるにつれて名前の変わる出世魚。最後には魚の学校の先生(魚師)になるのだそうです。この魚は背面が青、腹面が白の保護色。自然の世界はホントウに良く出来ているものです。鰆、、鰰など食卓に親しい魚たちをみながら秋田沖、北海道と北国にくるとメンタイとも呼ばれるマダラが目に入ります。それよりやや深い600mにスケトウダラ。戦時中から戦後にかけて随分不味いスケトウダラを食べさせられたことを思い出します。でもタラコはスケトウダラの卵巣ですから嫌えません。タラは背鰭が3基、尻鰭が2基、尾鰭の後縁がほぼまっすぐなのが特徴ですぐわかります。そしてそのそばにいるカニはタラの漁場にいるからタラバガニって名前がついたということを話すとヘー!っと多くの方が知らないようです。
日本には沢山の水族館があります。葛西臨海水族館のマグロ、大阪海遊館のジンベイザメ、エノスイの愛称で親しまれる江ノ島水族館には多種のクラゲが見られます。水族館では魚の泳ぎ方、餌付け、動きを見ることが出来ますが、この博物館には生きた動物はいませんからそうした動きを知ることは出来ません。その代わりに体型や鰭などの特徴をじっくりと観察できるのです。
近頃の人間のすさまじい胃袋は魚の乱獲につながり、マグロばかりでなく絶滅に瀕している魚が沢山あります。しかし魚は多くの卵を産みます。マンボウにいたっては億を超える卵を産むということです。そのほとんどは人間ではなく魚に食べられてしまうのですが、漁労管理を上手に行なえば決して絶える動物ではありません。私たちの子孫たちにもおいしいトロを食べてもらいたいものです。
6月13日まで大哺乳類展がひらかれています。地球館3階の大型動物剥製の展示とあわせて一見の価値があります。
2010年4月1日 記>級会消息
齋藤さん
ワンテンポ遅れたコメントで申し訳ございません。先日3月20日、科博に立ち寄り、前回齋藤さんが書かれました「ホクレア号」をあらためてよく見てきました。今までは素通りでしたが、今回は再度ブログを読んでから見るとよく判りました。
次回は、日本館の3階の魚の展示を良く見てきます。少しでも知識を与えられていると、関心が、ぜんぜん変わりますので有難いです。
それにしても、スケトーダラとは、懐かしいですね。「配給のすけそーだら」「配給の農林1号」には、うまいまずいを越して生きる為に大変お世話になりました。最後は情けない話になり失礼しました。 新田
コメント by 新田義雄 — 2010年4月4日 @ 13:59
せっかく来て頂いたのにお会いできずに残念でした。
コメント by サイトウ — 2010年4月10日 @ 22:29