鎌倉・鶴岡八幡宮の大イチョウ/大曲恒雄@クラス1955
記>級会消息 (2009年度, class1955, 消息)
鶴岡八幡宮のシンボルとも言われる大イチョウが3月10日未明の強風で倒れた。
この木は樹齢1000年以上と推定され、神奈川県指定の天然記念物になっていた。幹回り7m、樹高
(写真1) 2005/11/26 撮影 |
(写真2)ご神木 |
30m。
1219(建保7)年1月、時の3代将軍源実朝が参詣を終えての帰途暗殺されたが、その下手人である甥の公暁がこの木の陰に隠れていたという伝説から「隠れ銀杏」という名前が付いていた。真相は勿論分からないが、800年も昔に人が隠れられるくらいこの木の幹が太かったということは事実であろう。
(写真1)は5年前の11月下旬に撮影したものであるが、この時他のイチョウは殆ど色づいていたのにこの木だけはまだ青葉だったことが記憶に新しい。
(写真2)は幹の下部を拡大したもので、ご神木としてしめ縄が巻かれている。このしめ縄は毎年末に新しいものと取り替えられていた。
なお、鶴岡八幡宮のホームページは下記の通りで、トップページ「この写真について」の項目に今回のことについての報告が載っている。
http://www.hachimangu.or.jp/index2.html
この“大事件”発生以降、新聞の神奈川版やインターネットにはほぼ毎日記事が掲載され、関心の高さが窺われた。
主なものを追ってみると
(写真3)2010/3/11 MSN産経ニュース |
・(写真3)は3月11日 MSN産経ニュース(インターネット)に掲載されたもので、倒れた直後の様子がよく分かる。
・神社に委嘱されて状況を視察した東京農大の浜野教授(造園樹木学)は「根元の状態から判断して現状回復は不可能」とのコメントを出した。
・3月11日夕方には松沢知事が現地を視察。この時、吉田宮司は大イチョウの幹の一部を数メートル離れた所に植えて根付かせる方針を説明。
一方、県は独自に県自然環境保全センターが持つクローン技術を活用し、大イチョウの枝などから「クローン苗」を作る方針を表明。
・3月14日 根元から約4mの所で切断された幹(重さ17トン)が7m西側に植え直された。完全に根付くまでには2年くらいかかると見込まれているとのこと。
(写真4)2010/3/10 朝日新聞 |
・所が植え直された根元部分が傾いたため、3月17日真っ直ぐに立て直す修復工事が行われた。
・3月17日 「大イチョウの芽吹きを祈る記帳所」が参拝客の要望で開設された。
初日1200人、2日目は1500人が記帳。
・ 3月18日 再生を願う神事が行われた
(写真4 朝日新聞2010/3/19)。
吉田宮司が参拝客への挨拶で、移植した根元部分を「親」に、土中に残った根を「子」になぞらえ、「親子」の再生を祈り見守ってほしいと涙声になりながら訴えたとのこと。
(写真5)参道からの 眺め |
3月22日写真を撮りに出かけた(勿論参詣してお賽銭も納めてきた)。
当然のことながら、参道からの眺めが大きく変わり本宮が遠くからよく見えるようになっていた(写真5:中央上が本宮、その下に見えるのが舞殿)。
以前は、本宮前に大イチョウが仁王立ちして大きな枝や茂った葉で本宮のかなりの部分を隠していたが、それが消えたために“奥の院”が丸見えになり、奥の深い荘厳な感じが失われてしまった。
根元部分は元の場所の左下7mの所に植えられており、近くで見るとその大きさに圧倒される(写真6)。大石段の上から見たら幹の中心には大きな空洞があった(写真7)。樹齢1000年、時の重みのようなものを感じさせられた。
記帳所(写真8)は大盛況。最初の2日間で2700人が記帳したと報道されていたが、最終的に何人になるのだろうか?
(写真6)植え直された 根元部分の右上が 元の場所 |
(写真7)大石段の 上から見ると |
(写真8)記帳所 |
記帳した沢山の人たちや吉田宮司をはじめとする関係者の祈りと願いが叶って無事に大イチョウが再生を果たし、親子イチョウとして鶴岡八幡宮の新しいシンボルになることを期待したいものである。
2010年4月1日 記>級会消息
4月2日の朝日新聞に下記の記事が出ていたので紹介する。
「鶴岡八幡宮は4月1日、倒れた大イチョウの土中に残った根元から、10を超える若芽(ひこばえ)が生えたと発表。また、再生を願う記帳が3/17から4/1までに2万人を超えたとのこと。
若芽の長さは1cm弱、地表に出ている根の部分から生えていて緑色をしている。育った数本から後継樹を選ぶには10年前後かかる見込み。」
コメント by 大曲 恒雄 — 2010年4月2日 @ 10:45