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  • 大宇陀の町を紹介/西道夫@クラス1955

    前回は柿本人麻呂の歌に詠まれた「かぎろひ」とは何か、私の説を記した。今回は「かぎろひの丘」のある大宇陀の町を紹介する。

    この町はVancouberオリンピックにも関係がある。去る2月3日に放映されたNHKの「歴史秘話ヒストリア」に男子フィギュアーの織田信成選手が写っていたが、彼は織田信長の第17代目の子孫の由。同番組によれば、織田信長には息子が23人いて、結局次男の織田信雄が織田家を継いだ。
    1.大宇陀の町の始まり:家康の時代になって、元和元(1615)年、織田信雄が藩主となり、3万1千石の城下町として始まった。当時は「松山」と言われ、松山城は町の東北約600mの山頂に築かれた。今は城跡として残っている。この城下町の入口に建てられた「西口関門」は町を南北に流れる宇田川を東向きに渡った所に、昔の姿で残っている。黒塗りの立派な門である。
    2.その後の町の発展:町は奈良、郡山に次ぐ規模の町となり、政治、経済、文化の中心地となった。宇田川の東100mを南北に通る道は奈良から伊勢に向かう街道となった。格子戸、白い土壁、木の看板など、今でも江戸時代のの家並みが続いており、薬の原料となる植物の問屋(森野薬草園)や宇陀紙の問屋が残っている。現在、この街並とその周辺は重要伝統的建造物群保存地区となっている。
    3.織田家の菩提寺:町の西北、小高い山の中腹に菩提寺の徳源寺がある。ここに初代の信雄から4代目の信武まで、歴代藩主の五輪塔がある。お寺は京都北部の徳源院の寝殿を移築したことになっているが、今はこの当たりの大きな農家の建物だ。即ち南向きの平屋で、南側に広幅の廊下があり、これに面して10畳ほどの部屋が三つ並び、その東部は土間となっている。一番西側の部屋がお寺で、大きな仏壇などが置いてある。この家には子供が何人か居る家族が住んでいる。庭は広く、東屋風の建物が2棟あり、この中で弁当を食べさせてもらった。
    このご家族がお寺を守って居られるのだろう。
    4.又兵衛桜:町の西南約800mの山裾に樹齢300年とも言われる枝垂れ桜がる。高さ13m、幹廻り3mを越える巨木である。大阪夏の陣で活躍した武将、後藤又兵衛がこの地へ落ちのび、僧侶となり一生を終えたと言う伝説が残っており、この桜が後藤家の屋敷跡にあることから、地元では「又兵衛桜」と呼ばれ、親しまれている。シーズンには数万人の花見客が訪れる。この桜の後ろ側が桃の木の畑で、桃の濃い桃色と桜の淡い桃色のコントラストが素晴らしい。立ち去り難い風景である。
    きみごろも.jpg 
    5.大宇陀銘菓「きみごろも」:前記街並の途中にこの店がある。写真のように1辺が約4cmの直方体で、中身は卵の白身から作るメレンゲであろうが、表面は薄茶色に焦がしてある。押し潰せば体積は殆どゼロになる程柔らかいが、口に入れると香りと甘味が口中に広がって、美味しい。関西ではここでしか買えないであろう。
    6.黒豆の枝豆:昨年ブログで丹波篠山の特産品としてこれを紹介した。それと同じ味のものが大宇陀にもあった。大宇陀が盆地で、かつ冷え込みがきびしいので、篠山の地形、気候と同じなのだ。収穫期間が短いので、10月後半でないと買えない。奈良に住んでもう30年以上になるが、この時期に大宇陀には行かなかった。今後はわざわざ篠山までドライブしなくても黒豆の枝豆を味わえるのは有り難い。
    7.追記:今年は奈良遷都1300年に当たり、種々の催しがあるが、それに関係無く、もし奈良市やその周辺を見たいと思われる方は、メールを下さい。出来る限り観光に協力します。                                      以上     2010.2.15

    2 Comments »
    1. 追記への厚かましいコメントです。
      今直ちに予定が有るわけではありませんが、機会があったら何とぞ宜しくお願い申し上げます。
       以前にもコメントしましたが、法隆寺や長岡京市等自分が訪れた事のある場所の西レポートを読むと、「自分はただ行って来ただけに過ぎず、実に勿体ない事をした」と痛感させられます。
       ご案内頂かなくても、面白そうな資料や注意点など事前に読んでおけば、大分違うように思います。

      コメント by 寺山進 — 2010年2月22日 @ 15:56

    2. 寺山君のコメントに全く同感です。僕も、以前は、よく奈良に行きました。最近では、昨年の5月下旬に行きました。家内と二人で、奈良の寺を訪ね歩くのが好きで、観光案内書にあるような寺は殆ど訪ね尽くしてしまったのですが、やはり、表面しか見ていないと思いました。西君の解説に刺激され、そのうちに、大宇陀の町を訪ねてみたいと思います。

      コメント by 武田充司 — 2010年2月24日 @ 21:52

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