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  • 近頃思う事(その9)/沢辺栄一@クラス1955

     政権が民主党に変って、官僚に依存しない政治主導の掛け声のもと、これまでだらけていた政治の分野で少しは緊張感が持たれるようになったのは喜ばしいことであり、

    また、新しい動きも見え期待がもてそうな気がする。
     しかし、民主主義に反するのではないかと思われる現象がある点が気になる。
     NHKのニュースでは或るひとつの意見に対して、中立を保っていることを示すためにその意見に反対の意見も必ず取り上げている。それぞれの意見の後ろにその意見を支持する人の割合が9:1であっても1:1の割合で報道される。民意の割合を示していないと思うが、こんな意見もあるのだということを知らせるのと、視聴した人に考えさせることなのでさほど問題とはならない。
     
     しかし、今回、民主党が、社民党、国民新党と連立政権を作ったことは大きな問題があるように思う。今度の選挙で選ばれた議員数はこの3党はそれぞれ308名、7名、3名であり、連立政権での議員数の寄与度はそれぞれ97%、2%、1%である。それが閣僚の比率となると89%、5.5%、5.5%となり、さらに与党内の意見交換としては1:1:1と対等になる。選挙民の大部分が拒否した7名や3名の議員集団が308名の集団と同等の発言力を持ち政策に反映されることになっているのは理不尽のように思える。例えばドイツでは連立政権の可能性がある場合、選挙前に連立を組もうとしている政党が政策協議を行い、連立政党共通のマニフェストを作成し、それを選挙民に問う形で選挙が行われるとのことである。今回は各政党がそれぞれのマニフェストで選挙を行い選挙後に連立政党が政策協議をして方向を決めた。その結果、民主党のマニフェストに無かった「米軍再編や在日米軍の基地のあり方」などが社民党の強い要求によって政策に盛り込まれ、国民新党の「中小企業の債務返済の3年間余裕を持たせる」法案が提出されるようだ。また、民主党のマニフェストに盛り込まれており、国民の期待が最も込められていたものの一つである「衆院定数80削減」が社民党の強い反対で落とされた。大多数の民意を反映された選挙の結果が歪められているように感じる。勝てば官軍と言うことで、政権を取れればその後は何でも良いということを示している。
     
     鳩山首相就任後に、「国民のための政治を作り出す」と語ったが、「国民のための政治」の内容がどのようなことであるかを見守りたい。閣僚18名の内、社会党関係者の議員6名と三分の一を占めており、初の議会で与党質問は全て社民党議員が行うとのことであり、社会党が政権を取ったような感じである。昔の社会主義国家を2~3訪れた経験から判断すると、社会主義政策が強まれば、福祉政策は悪いといわないが、サッチャー政権以前の英国のように、独立心を失った国民の大部分が政府、国家に依存する活力のない怠け者の国になってしまうのではないかと危惧している。ケネディ大統領の就任演説での「あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたはあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか」の言葉を思い出すこの頃である。
                                                       (2009.10.20)

    1件のコメント »
    1. 三党連立による政権については小生も非常に問題だと思う。
      選挙前は過半数を取ることに十分な自信が持てなかったことや参議院対策などのために三党で協力をせざるを得なかったことは事実であろうが、選挙の結果を踏まえて当然協力のあり方を再調整すべきであったと思う。
      たとえ他の二党から約束違反と非難されてでも308:7:3の意味を改めて考え直すべきであったはず。
      精々閣外協力か、或いは協力的野党(?)あたりが他の二党の適切な収まり所ではなかったのだろうか。
      それなのに、選挙前の三党合意を引きずって何と党首の入閣まで求めてしまったのだから唖然とさせられた。
      新政権は普天間問題を始めいろいろなことで軋みが目立ち始めており、早晩三党連立は行き詰まるのではないかと見ているが・・・。

      コメント by 大曲 恒雄 — 2009年11月3日 @ 10:10

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