「総選挙は楽しい」後日談/武田充司@クラス1955
記>級会消息 (2008年度, class1955, 消息)
投票率50%以下の選挙は無効という先日のリトアニアの話をブログに書いたあと、偶然、現在リトアニアに在住している女性と雑談をする機会がありました。
そこで、彼女に「あの50%ルールは今でも生きているのですか」と訊いて見ました。
すると、「あのルールはまだありますが、私が以前暮らしていた西欧の某国では、あのようなルールはありませんでした。 それでも、投票率はいつでも70から80%でしたよ」という答えが返ってきました。
なるほど、言われて見れば、投票率を維持するために50%ルールを設けなければならない国というのは、まだ民主主義の途上国ということなのだと、神妙に納得しましたが、それなら50%ルールもなく、投票率が頻繁に50%以下になっても平気でいられる国とはどういう国なのかと考え込んでしまいました。
ところで、リトアニアには旧ソ連製のチェルノブイリ型原子力発電所がまだ
1基運転中ですが、リトアニアがEUに加盟する時の条件として、この原発を2009年末までに閉鎖する約束をしています。しかし、最近のエネルギー不足から、EUと交渉して、この原発の閉鎖を遅らせたいと考え、昨年秋の総選挙の時に、同時に、国民投票を行って、閉鎖延期の是非を問うたのですが、投票率が50%に達しなかったため、国民投票は無効となり、結論が出ませんでした。わが国でも、そのうちに、憲法改正の是非を問う国民投票があるかも知れませんが、どうなることでしょうか。
なお、リトアニアの原発閉鎖問題はEUの政治的問題で、かなり複雑な背景がありますが、興味のある方は、僕が2000年12月号の原子力学会誌に書いた解説「リトアニア共和国イグナリナ発電所1号機の閉鎖をめぐって」を見て下さい。
(2009年2月7日)
2009年2月16日 記>級会消息
リトアニアの「50%ルール」には前回大いに感心しましたが、このルールが無くても投票率が70~80%の国があることに驚き、かつ日本の投票率を省みて恥ずかしくなりました。私は、小学生の頃修身の時間に選挙には必ず行かなければいけないと教えられた記憶があります。戦時中だったので不思議な気もしますが、戦後は政治問題は教育から除外された気がします。駒場で有名教授の法学の講義を受けましたが、法治国家では「悪法も法なり」と言われてすっかり失望しました。時代遅れの悪法を暗記した秀才に支配されるのでは堪りません。最近、裁判も陪審員制度が導入されるようですが、常識を備えた裁判官の育成が先決だと思います。更に、その基礎になる法律が時代遅れでは役に立ちません。現状の國会を見れば、選挙制度の改革もさることながら、日本人の質の崩壊を立て直す教育問題の大改革が必須だと思います。
原発問題は、新エネルギー問題のクローズアップの際、避けて通れない政治問題だと認識しています。
コメント by 大橋康隆 — 2009年2月18日 @ 10:27