近頃思うこと(5):日本は誇れる国/沢辺栄一@クラス1955
記>級会消息 (2008年度, class1955, 消息)
約25年前、放送文化基金の技術専門委員会の委員長をされていた尾佐竹先生が委員会の休憩時間に
「日本人は昔から凄いんだ。昔、外国から来た人が日本人の技術的素晴らしさについて書いた記録が残っている」と話されたことを聞いて、日本人を外国人がどのように見ていたかを知るため、過去の外国人の記録、日記等に本で出版されているものを定年後暇になったら読むために書店で見つけ次第購入してきたが、今それを満喫している。
今から1,750年前に書かれた「魏志倭人伝」には「倭人は盗窃せず」と書かれ、約1,400年前の「隋書倭国伝」にも「争訟まれに、盗賊少なし、(中略)性質直にして雅風あり」と記されている。日本に最初にキリスト教を伝えたザビエルは「この国の人々は今までに発見された国民のなかで最高であり、日本人より優れている人々は異教徒の間では見つけられないでしょう。彼らは親しみ易く、一般に善良で、悪意がありません。驚くほど名誉心の強い人々で、他の何よりも名誉を重んじます。大部分の人が貧しいのですが、貧しいことを不名誉と思っていません」と報告している。「ペルリ提督 日本遠征記」には「実際的及び機械的技術において日本人は非常な巧緻を示している。(中略)日本の手工業者は世界に於ける如何なる手工業者にも劣らず練達であって、人民の発明力をもっと自由に発達させるならば日本人はもっとも成功している工業国民にいつまでも劣ってはいないことだろう。(中略)日本人が一度文明世界の過去及び現在の技能を所有したならば、強力な競争者として、将来の機械工業の成功を目指す競争に加わるだろう」と予見していた。シュリーマンがトロイの遺跡を発見する前、明治維新の4年前に中国の北京、上海および日本の江戸を旅行しており、「シナと日本」を著述しているが、その中で「もし文明という言葉が物質文明を指すなら、日本人は極めて文明化されていると答えられるであろう」と質問に答えている。米国首都ポトマック河畔に日米友好の桜を植えることを友人であるタフト大統領夫人に進言し、実現させた米国立地理学協会初の女性理事で紀行作家であったシドモアが明治35年に出版した「シドモア日本紀行」には「もしも、かって日本が中国からの渡来品を改良し工夫したように、西洋からの輸入品を洗練し変えていくならば、次の世紀、世界を凌駕することは不可能でしょうか?(中略)既に美術工房となっている日本はこのスイス以上に世界融和の天職を持っているのではないでしょうか?」と書かれている。
大正8年、第一次世界大戦後のベルサイユ講和会議で、日本は国際連盟に世界最初に画期的な「人種平等規約」を提案した。多数決であれば採択されたにも拘らず、アメリカ、イギリス等の全会一致でなければという一方的な宣言で否決されたことは良く知られている。第二次世界大戦後、アジア諸国の独立、今日の国際連合での「あらゆる人種は平等である。人は人種によって差別されない」は今日当然のこととなっているのは日本の貢献が大であったと思っている。最も非難されている第二次世界大戦中でも、スラバヤ沖海戦でイギリスの軍艦が沈没した時に、側を通っていた日本の駆逐艦の艦長が潜水艦攻撃を受ける可能性の高い危険を冒して、海に漂流しているイギリス海軍兵全員を救助し、丁重に扱った。戦後、イギリス国内で日本は野蛮な国だという声が広がった時に、その時救われた貴族が日本は騎士道精神によって我々を救ってくれた文明国であることを主張し、日本の名誉を保ってくれた。過去ばかりでなく現在においても、国内、世界で活躍している世界一級の日本人は多く、凄い日本を数え上げれば限りが無い。
西郷南州遺訓に「西洋が文明ならば、未開の国に対し、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導くべきであるのに、そうで無くして未開蒙昧の国に対する程むごく残忍のことを行い、己を利しているのであるから野蛮である」と記されているのを知り、西郷隆盛も西洋の本質を見抜いていたのに感心した。私自身は欧米諸国がこれまで日本より文明的であると思っていたが、2~3年前「日本文明の真価」(祥伝社黄金文庫)を読んで、欧米諸国が日本より野蛮であることを気付かされた。
何故大人気無く、こんなに日本人に対する良い評価を羅列し、西洋の悪口を書いたかは今年の8月15日のNHKニュースで「誇りの持てない国のために身を投げ出すことなどできない」と若者が言っている放送を観て、「日本に誇りを持てない」というところに大変ショックを受けたからである。この画面と言葉を選択したプロジューサーの見識に大変がっかりした。私は日本に生まれて大変良かったといつも感じているが、日本に誇りを持てない人が本当に多いのか疑問に思っている。もしそうなら、これまでのマスコミ報道を含んだ広い意味での教育に問題があるのではないかと感じている。我々の世代は戦前の意気、戦争の怖さ、戦後の貧しさ、経済発展への貢献、バブル崩壊に遭遇等々、非常に多彩な経験をさせてもらった貴重な世代であり、日本の良い所、悪い所を知っている。日本に誇りを持ってもらうよう、自分の子供、孫に日本の良さ、素晴らしさを伝えていかねばならぬと思っているこの頃である。
(11月24日記)
2008年12月8日 記>級会消息
先日、1年先輩の藤崎先生に思わぬ所でお会いした。その時先生からお聞きしたお話しをお伝えする。20年前昭和天皇が崩御された時に先生はインドに滞在されており、その報を聞いた日から、4日間インドでは喪に服し、テレビ、ラジオその他のイベントは禁じられたとのことである。インドの英国からの独立に対する日本の貢献への感謝と天皇への追悼であったとのことである。
コメント by 沢辺 — 2008年12月8日 @ 14:46