近頃思うこと(その2)/沢辺栄一@クラス1955
記>級会消息 (2008年度, class1955, 消息)
5、6年前から素晴らしい人も多数いるが日本人の人間としての性能が平均的に見て劣化してきているのではないかと思っていたが、最近のマスコミ等の報じる内容を見たり聞いたりすると益々その感を強めている。
人間が動物でなく人間として社会生活を営んでいくためには基礎学力、体力、モラル、意欲、寛容力、忍耐力、協調力、貢献協力、注意力、自分で考える力、精神力等々が必要であるが、これらどれをとっても20年、30年前に比べて落ちている。ゆとり教育で問題になった学力では少し古い2003年のOECDの学習達成度調査によると数学能力が6位、読解力が14位、科学的能力が2位、問題解決能力が4位で以前はどれも1位、2位であったものが下がっている。体力に関しても文部科学省が実施している体力・運動能力調査によると30年前に比較すると身長、体重などの体格では大きくなっているが、走力、投擲力等殆ど全てのテスト項目で下回っている。最近の若い生徒たちが電車の中や路上ですぐに座り込むのを見ても体力が劣化していることが分かる。
モラルに関しては見つかるまでは平気で誤魔化す毎日のように報道される最近の企業の不祥事の数々、注意しただけでも殺人にまで発展する現象、昔は最も罪の重かった親族殺人の著しい増加、公的図書館での図書からの切り取り等々。責任者になることへの回避、青少年の自殺の多さ等に示される精神力の低下。モンスターピァレントに示される正当な権利を超えた個人の身勝手、感謝しなければならないのに弱者優遇を逆手にとって権利を主張する勝手主義者の横行。
これらはグローバル化、マスコミTVの商業主義、教員のサラリーマン化、愛の鞭を禁じた教育委員会等も原因であろうが、根本的にはこれまでの個の権利優先等占領政策の影響を強く受けた教育にあると思う。文化人と称する知識人・学識経験者や残念ながら同窓の東大出身者が多くを占める文部省の役人が戦後、連合国に追従して独立後も本当に必要な真の教育を考え、制度として確立してこなかったためである。幕末の志士を育てた吉田松陰は「学は人たる所以を学ぶなり」と言っている。
これから最も効果のある乳児、幼少時を含めて人間化教育が正しく実施され、30年、40年後の日本の社会が良くなることを切に望んでいるこの頃である。
2008年10月20日 記>級会消息