博物館の展示に質問を/斉藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2008年度, class1955, 消息)
7月28日に掲載された私の「エアトン先生」について、武田さんから「上野の科学博物館は小さ過ぎて恥ずかしい、スミソニアンの10倍位のを百年計画で作って」とコメントがありました。私も全く同感です。
スミソニアン、ルーブル、大英博物館などは別格としても、例えばミュンヘン、イザール川の中州にあるドイツ博物館。そこで見た200年前の蒸気揚水機、織機とカメラの展示、アルタミラ洞窟の精細なレプリカなど圧倒されるような展示は今も目に焼きついています。
展示物の豊富な博物館は観客の私たちをすっぽりと歴史の雰囲気の中に包んでくれるのが魅力です。また沢山の展示が私たちの多様な好奇心を満たしてくれます。上野の国立博物館は2004年に新館がグランドオープンし、また昨年、昔の本館が80年前の姿にリニュアルされ、それぞれが地球館、日本館として展示もかなり充実してきましたが、ここも東京大学同様独立行政法人になって懐具合はままならぬようです。いつの日に武田さんの満足される博物館になるでしょうか。
ドイツ博物館 |
その一方でミニ博物館が随分増えています。最近私は相模原と葛飾にある小さな小さな博物館を訪ねました。相模川、江戸川の治水との闘いの中でそれぞれその地区が発展してきた歴史を分かりやすく説明しており、両者ともにプラネタリウムを持っていて、地域の小学生たちが沢山勉強に来ていました。
博物館は規模が小さくてもしっかりとしたメッセージを発信することが大切です。数十億年、数千万年の時を表現する展示物が語る言葉を理解するのは中々難しいことです。そこで展示の方法に工夫が必要になるのですが、日本の展示技術はまだまだ不十分。そのギャップを埋めるためにキュレーターやボランティアの存在が必要になってきます。
古人は「百聞は一見に如かず」と言いましたが、展示物の一見はそういった人たちからの一聞によって百見になります。知識と経験が豊富な諸兄が博物館を訪れたら、是非いろいろと質問してください。キュレーターやボランティアたちは諸兄がいままで知らなかった世界を教えてくれるでしょう。もちろん彼らがウーンと頭を抱えることもしばしばです。でも彼らはとても勉強家ですから、その時に答えられなくてもすぐ勉強し、その様子は日誌に書かれ、他のボランティアたちも含めた知識になります。そうしたことが次々世代の若者たちの科学技術振興につながるのだと思います。
という意味を含めこのコラムをお借りして、折々に科博の面白い展示をご紹介していこうと思っています。
2008年9月22日 記>級会消息
僕の大風呂敷な話に同感して頂き、有難う御座います。なかなか、現実は厳しいですが、夢は持ちたいものです。最近は、理工系に少し疲れたので、江戸東京博物館で王義之の書を見たり、京都に行って河鍋暁斎の絵をみたり、ついでに、石山寺詣をして、紫式部のお祭り騒ぎに出会ったりしました。お恥ずかしい話ですが、まだ、お膝元の、大宮の鉄道博物館に行っていないのです。先日、上野の科学博物館に行った時、初期の電子計算機の展示の前で、僕らより少し年上らしい老人が、孫とおぼしき男の子に、これは自分が関与して作ったものだと言うような説明をしているのに出会いました。こういう光景をもっと見たいものです。
コメント by 武田充司 — 2008年9月26日 @ 22:25
大宮の鉄道博物館は沢山の実車輌の展示が圧巻です。しかし信号機、通信系の展示にもう少し充実がほしいなと思いました。是非お出かけください。
コメント by サイトウ — 2008年9月28日 @ 08:24