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  • 叙勲を受けて/田中英彦

    2021年秋に瑞宝中綬章の栄誉に浴した。教育研究功労がその内容であるが、1970年から2004年迄の東京大学における活動と、その後2017年迄の情報セキュリティ大学院大学での活動がその中心である。東京大学ではコンピュータと応用の分野、情報セキュリティ大学院大学では情報セキュリティ分野での研究と教育に関わった。大学院時代は尾佐竹研究室で通信の研究に携わったので、結果として、専門が、通信、コンピュータ、セキュリティと移ったが、セキュリティは通信や情報がベースで、自然な流れであったと考えている。

    1970年当時はインターネットの勃興期で、ネットワーク処理向けのOSを元にシステム構成をする提案や、コンピュータとデータを使うことをサービスと定義し、それを網で提供するサービスベースシステムの提案等が最初である。その後、通産省の第五世代コンピュータプロジェクトに関わり、中核であった元岡達教授が急逝されたため、その後を継いだ。研究室では、推論をベースとするコンピュータを0から研究し、文科省から特別推進研究の資金を得て、並列推論エンジンPIEを作成した。これは機械語、ハードウエア、OS、言語など、すべてオリジナルな並列システムで、研究室メンバが各要素を考案作成した。一方で、音楽情報処理、記録からの予測、超並列プロセッサ、画像の自動索引付け等の研究がある。また1990年代半ば頃、並列処理コンソーシアムを作り、複数の企業と大学による共同研究活動を行った。1999年頃から、情報関連専攻を集めて研究科を作ることに携わり、2001年に新設された情報理工学系研究科の最初の研究科長を務めるとともに、主要国立大学の人々と、同種研究科の集まりを形成した。2004年、国立大学の制度が変わり、国立大学法人が作られた。我々2004年定年(61歳)組は従って、国立大学最後の国家公務員教官である。

    同年、横浜に情報セキュリティ大学院大学IISECを設立することに参画し、最初の研究科長としてそれに携わった。それ迄わが国に存在しなかった情報セキュリティ分野の教育研究機関として、0から私立の大学院を作ることを経験した。2007年には、高度情報セキュリティ人材育成を、文科省プログラムとして開始し、中央大、東京大の他、幾つかの企業と連携した活動を始め、現在も自立して継続している。その後、学長を務め、現在は日本ネットワークセキュリティ協会のお手伝い等をしている。

    このように様々な研究・教育の活動を行ってきたが、その各時代に居合わせた研究室メンバ等、多くの方々との密な協力下で仕事をすることができた幸せを思う。今更ながら、その方々へ深く感謝を申し上げたい。

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