新年を迎えて/尾上守夫
旧年は大変な年でした。久闊を叙し、新年の賀を申し上げることがためらわれます。12月に仙台に行く機会があり、その南の被災地を見てきました。国道から海まで一面の野原で、松並木の向こうに海が見えます。案内してくださった方は、前は家なみで松並木も見えなかったと言っておられました。改めて被災された方にお見舞い申し上げます。
ただ私の年代は同じような光景を戦争中に何度も見ています。東京の高台から、東京湾まで一面の焼け野原になった光景は忘れられません。それが東京だけではなく、全国の都市という都市がみなそうでした。復興には何十年もかかると言われてました。それが皆で力を合わせて働いたおかげで、平均寿命でも、国民所得でも世界のトップレベルの国になったのです。 今度の大震災でも、心の温まる話、勇気づけられる話を沢山聞きました。それらが活かされて、来年はより明るい年になることを祈ってます。
今度の大震災は地震の被害もさることながら、津波がそれを桁違いに増大させました。それで津波に関する話題ニ三ご紹介したいと思います。
Jason I / II という衛星をご存知ですか。 Jasonはギリシャ神話でアルゴ船に乗って黄金の羊の毛皮を探しに航海した主人公です。衛星は海洋観測を目的とし、それに因んで名づけられました。高精度のレーダーをつんでいて、波の高さまで測れます。
Jason I は2004年12月26日のスマトラ沖の大地震の時に、インド洋を横断していく津波を見事にとらえました。宇宙からの最初の観測例です。(周回衛星ですから黒の直線に沿った断面だけですが)
http://www.cnes.fr/web/CNES-en/4967-the-tsunami-seen-by-satellites.php
(左上の差込図はシミュレーションによる津波伝播の動画で、上のウエブで見れます。)
そして今年の3月11日の東日本大震災、Jason Iが7時間半後、 Jason IIが8時間20分後に太平洋を横断していく津波を捉えています。下の左の図には衛星の軌跡と、日本のGPSデータも活用したシミュレーションの津波が示されています。右の図で黒線が予想された波高、色がついているのが、衛星からの実測値です。複数の震源域が連動した大地震といわれていますが、津波も複数にわたって発生し、それが重畳して波高がましている様子が上の図に示されています。
http://www.nasa.gov/topics/earth/features/tsunami20111205i.html
これが津波の予報に使えればと思いますが、周回衛星ですから常時の監視はできません。(チリ津波のような太平洋を横断してくるものなら間に合うかもしれませんが。)ただ陸上のレーダーで遠方の波高を観測する研究も進んでいます。昔富士山頂の気象レーダーが台風の接近を監視していました。同じように津波の監視もできないか、このお正月の初夢です。
もう一つご紹介したいのは、東京大学 海洋アライアンスが神奈川県平塚沖1kmのところで運用している海洋実験タワー(http://157.82.157.148/oa/)です。
下の図はそこで観測された3月11日から16日までの毎日の水深です。(右上から縦に読む 青線は潮汐の予測を下にずらして描いたもの)相模湾に回り込んできた津波が見事に捉えられています。
幸い干潮時でしたから、海岸では普段の満潮時くらいの水位で気付かれなかった方が多いと思います。津波のエネルギーが相模湾に閉じ込められて何日も往復しています。
来るべき東海地震に備えて、沿岸の自治体はハザードマップを用意していますから、海辺にお住まいの方はご覧になっておかれるとよいと思います。
尾上先生
場違いの意見ですが、ここに書かせて頂きます。
東大の秋入学賛成です。
昔の高等学校が中学4年からの受験入学を認めたように、高校2年からの受験、入学を認めるようにするのが良いと思います。
4月から9月まで別のことをさせるとか、いわれていますが、私は昔あった制度の流用がいいのではないかとおもいます。
高校が秋卒業になってからも、2年からの受験入学をつずけたら良いのではないかとおもっています。
コメント by 永田 邦一 — 2012年2月7日 @ 14:43