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  • 同窓会の近況/理事長 多田邦雄

    2009年11月に東京大学電気系同窓会の理事長を仰せつかってから2年になります。前任の茅 陽一先生、佐々木 元様のもとで5年前から進められてきたICTの利活用などによる同窓会の緊密化、活性化をさらに推進することに、微力ながら努力して参りました。昨年9月に「同窓会の現況と方向性」(同窓会報No.54 巻頭言)と題し、同窓会の現状分析や改善を要する点などを報告申し上げましたが、今回は、その後の変化や新しい動きを中心に、同窓会の最近の状況を説明申し上げます。

    まず、最新最大のニュースは、教養学部2年生の電気系への進学振り分けが本年度は近年にない活況を呈したことです。これには、本年2月からお願いした同窓会を通じての学部学生5月祭活動支援募金が、少なからぬ役割を果たしたようです。この募金については、本年2月21日付同窓会メールマガジン号外その1、2の寄付お願い状(「同窓会の皆様へ」および「五月祭企画のためのご寄付のお願い」)にありますように、電気系への進学志望者数がこの10年近く低迷し、昨年度は特に少なかったことを心配した学部3、2年生有志からの、「10万人が来場する五月祭の機会を活かして、電気系の魅力を強力に発信したい」、という自主提案が発端であります。例年にない大規模な展示・行事や広報文書作成配布などが企画されました。しかし実施には相当な費用が伴います。電気系工学専攻としては、教養学部生への学科勧誘説明や研究室公開の充実など教員側の努力の他に、このような学生側からの提案、協力は頼もしいとは言え、学生の自主活動としての五月祭への費用を公的予算から援助することは許されません。そこで電気系の現役教員も含め同窓会会員の皆様にご寄付をお願いする案が浮上し、同窓会が窓口を引受けた次第です。その結果、本年2月から5月頃までの間に、124名の方々から1,098,760円のご寄付を頂きました。

    この資金により、本年5月28日、29日に工学部2号館を主会場に例年と見違えるような盛大な五月祭行事が展開されました(五月祭の関連記事)。工学部2号館は例年にはサークルの控室に使われ客足が少なかったところ、今回は計8000人と4倍増の賑わいでした。電気系では従来の展示に加え、「VOCALOIDと音楽ソフト産業」を皮切りに講演会4イベント、電子工作教室、クイズラリー、進学相談室などの新企画が実施され、また2号館フォーラム(中庭アーケード)では、電気系の学生が活躍する電気自動車のクラブなどいくつかのクラブも出展し、彩り豊かでした。広報は大幅に強化され、従来は諦めていた各種宣伝媒体が作成可能となり、特に目玉としては全32ページの「工学部2号館ガイド」4000部が配布され、好評だったようです。

    このような努力の甲斐あって、今年度の進学振り分けでは、志望者が定員を大幅に上回り、工学部の内規により定員より6%ほど多い進学予定者をこの程内定したとの朗報を、電気系工学専攻長 相田教授より頂きました。今年度工学部を志望した学生数が史上最多の1009人を記録したなど、工学部全体の人気が高かったことに助けられた側面もあるかもしれないが、ここに紹介した現4、3年生による活発な活動が志望者数増に大きく寄与したことは間違いないとのことです。このような同窓会にとっても非常に喜ばしい話を聞けたのも、会員の皆様方のご寄付の賜物であり、ここに厚くお礼申し上げます。

    来年の進学振り分けについても、この良い流れが定着、さらに改善するよう、気を抜かずに努力を継続して行きたいという専攻側のご意向と、既に次回五月祭に向けて行事拡大や後輩への業務引継などを検討している学生側の熱意を再度受け止め、同窓会としても2012年の五月祭に向けて再び募金活動に協力することを決定致しました。開始時期を前回より早め、9月下旬に会員全員のお手元に届く筈の同窓会総会等の案内状に同封して、募金お願い状をお送りしますので、宜しくご検討下さるようお願い申し上げます。なお、今年は全東大のホームカミングデイが例年より2週間早まり、10月29日(土)となりましたので、その日の午後、電気系同窓会の講演会、総会、懇親会を開催致します。是非ご参加下さるようお願い申し上げます。ところで学部学生は準会員ですので、講演会に自由に参加して先輩会員とも交流してほしいと連絡してあります。

    同窓会運営上の新たな試みとしては、2010年11月13日に同窓会講演会の直前に、評議員会を開催しました。ご承知のように評議員は卒業年度ごとに1名選出頂き、理事・監事の選挙、会報へのクラス消息記事の執筆等を担当頂いております。同窓会会則21条によれば、「評議員は、評議員会を組織して本会の事業の遂行について理事長に助言する」とあります。同窓会の運営に携わる理事・監事や幹事が、会員各位のご意見を直接伺える機会は総会、懇親会をおいて他になく、しかも短時間だけであります。評議員は幅広い年代層をカバーしておられ、しかも同窓会、クラスの様子を良くご承知の方々ですから、一度集っていただき、色々ご意見を頂いたらどうかということで、恐らくは初めてとなる評議員会を開催させて頂きました。ご出席評議員13名と理事・幹事8名の間の意見交換により、主にホームページ、会報(縮約版)、名簿の改善への多くの貴重なご提案を頂くことが出来ました。議事録を全関係者に配布し、ご検討頂いております。

    さて、現在の電気系同窓会会員総数は8,686名、うち逝去者は1,898名です。赤門学友会に加盟の同窓会の中で、会員数では経友会(経済学部)、法学部同窓会に次いで3番目、さらにホームページについては最も先進的な位置にあることは、昨年と変りないようです。毎月のメールマガジンは3717名の会員に発送されております。ホームページへのユニークアクセス数も年間24,000程度に向上しております。歴史アーカイブサイト「セピア色の三号館」もコンテンツが充実して参りました。同窓会報第1号からのアーカイブ化も始まりました。同窓会内での新たなコミュニティー立上げのためのコミュニティー会館も設置されました。クラスブログは31、支部ブログも地方支部第1号の東海支部で開設されており、同窓会員ブログも10に増加しました。

    以上のように情報交流基盤としての同窓会ホームページは年々規模や機能を拡充してきておりますが、その実際の利用率は必ずしも目に見えて向上しているようには見えません。例えばクラスブログにしても、開設されているクラスは全体のおよそ半分程度で、特に1990年ご卒業以降のクラスでは、ほとんど開設されていないようです。クラス内ではメーリングリストで良く連絡をとっておられるとは想像致しますが、クラスブログの開設されてない年度の方々のご意見や消息を伺う場がないということは、他の年度の会員からみれば、淋しいことではないでしょうか。クラスブログを是非開設して頂き、同窓会全体へ発信することもどうぞお考え下さい。このようなICTの利活用などによる同窓会の緊密化、活性化、さらにはWEBを梃子としてのソーシャルネットワークないしはコミュニティーの形成といった広い関係づくりは、5年前に電気系同窓会が選んだ新しい同窓会づくりへの実験ともいえると思います。ICTに係わりの多い電気系分野の皆様方が、特に若手の方々が大いに参加、活躍されて、この実験を成功に導いて下さることを心からお願い致します。

    色々とお願いを書き連ねましたが、以上をもって退任のご挨拶にもかえさせて頂きます。2年間ご支援、ご協力頂いた会員各位、理事・監事、幹事、電気系同窓会活性化ワーキンググループ、事務局の皆様方に深く感謝申し上げます。

    (1960年電気卒、東京大学名誉教授、金沢工業大学客員教授)

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