秩父34霊場巡り…その1/斎藤嘉博@クラス1955
記>級会消息 (2012年度, class1955, 消息)
善は急げ、思い立ったが吉日、それに高橋さんのコメントに励まされて前回の稿(坂東三十三か所)を書いてからすぐ秩父の寺めぐりをはじめました。
関越道を花園で降りると長瀞の南に皆野トンネルというバイパス有料道路ができています。このごろはどこに行ってもしっかりした道路があり標識も整備されていますのでドライブは楽になりました。
2番の真福寺は細い山道を大分あがったところで、林の中にだれもいないお堂だけがひっそりと建っていました。帰りの道も谷あいの細いかなりな急坂。そして納経帳への印は川に沿っておりた、ひらけた場所にある光明寺で頂くことになりました。
秩父といえばいくつかのキーワードが思い浮かびます。長瀞の景勝、秩父銘仙、秩父の夜祭り、秩父一揆、秩父セメント。そう、この街にはいるとどこからでも武甲山の偉容、異様をみることが出来ます。太古の昔に海底にあったサンゴ礁が地上に現れた全山石灰岩の山で、ビル建設が多くなった1940年からセメントの採掘がはじまったといいます。採掘によって山容は変わり、山の高さも数十メートル低くなったとか。見上げると異様な感じがしますが、地元の人たちは「自然保護もあるけど、セメントのおかげで街が潤っているからネ」と言っていました。バブルの時代ほどではなくても昨今のビルラッシュ。すぐにも山がなくなってしまうのではないかと心配しながら高台に登って街を見下ろすと、山の大きさに比べてビルの小さいこと。これなら当分は掘っても大丈夫かなんてホットした次第です。
途中でもらったパンフレットに「秩父ブルーベリーの里でブルーベリー狩りを」とあったのに惹かれて「陽はまだ高い、ここに行ってみよう!」。昼食をしたそば屋で道を尋ねると15分程度のところ。荒川の橋を渡ってフルーツ街道に足を向けました。思いだせばボストンにいたころにブルーベリーヒルというのがあってこの周辺でブルーベリーを摘んだものです。カナダにも野生のブルーベリーの灌木がたくさんあり、7月ごろになるとブルーベリーの実はクマの大好物。食べたブルーベリーでクマの糞が紫色になるのですとレンジャーが話していましたっけ。
秩父のブルーベリーはこの高原に適地と、ここ数年に栽培されたものだそうです。このあたりによっちゃんファーム、みのちゃんファームなどと愛称がついたいくつかの農場が点在しています。「私もよっちゃんなんだけど」と道で作業しているお兄さんに声をかけたら「どうぞ、どうぞ」と灌木のあるところに案内してくれました。 | |
よっちゃんファームの
ブルーベリー |
主力種はスパルタンでそのほかバークレー種など。大きな実でジューシーですが酸味、苦味に欠けてやや野性味不足。上品な味わいでかえって木の実を摘んでいるという感覚に欠けました。7月も末になるとティフブルー種が実ってこれは甘みと酸味のバランスがよいのでもう一度来てくださいと言われました。
8月、9月の暑い日を避けて2回目の秩父訪問は9月も下旬のことでした。この時には所沢で関越を降りて入間から高麗川沿いに蛇行して走る299号線を使ってみました。秩父の街にはいったところにある12番野坂寺を皮切りに荒川の上流、三峰山に続く国道140号沿いの24番から30番までの八つの寺にお参り。$00A0 | |
円融寺の奥の院
岩井堂 |
聖観音をまつる26番円融寺は国道沿いの比較的平坦なところにありますが、ここから昭和電工の工場敷地を抜けて山道、そして200段余りの石段を上がったところに岩井堂と呼ばれる奥の院があります。この奥の院の舞台から眺める緑に囲まれた秩父盆地は平和で静かな佇まいでした。
26番から10分ほどのところにある28番橋立堂は件の武甲山のすぐ麓。背後にはきりたった崖がお堂を守るように迫っています。石灰岩の塊であるこの山のことを考えると鍾乳洞があって当然。寺の脇に洞への入口があり、200円の入場料を払ってなかに入ってみるとそこには鍾乳石は全くなくて、富士山ろくの風穴を思わせるただの岩穴。なあんだとがっかりして入口で尋ねますと鍾乳石はすべて盗掘されてしまったのだそうです。本尊が如意輪観音の30番法雲寺にお参り。そのあと三峰山にあがって神社にお参りし、秩父湖のあたりを散歩と思っていたのですが、おそい昼食をした寺のそばのそばやで尋ねましたら「頂上まで車でもまだここから40分はかかりますネエ」との返事。帰りが暗くなるのを嫌ってこの日はここで帰途につきました。
2012年11月1日 記>級会消息