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  • クジラにひげ?/斎藤嘉博@クラス1955

     地球館の一階を入って直ぐの部屋、上を見上げると三千万円のクロマグロから小さいマアジまで様々な魚が泳いでいます。


     海底をイメージして作られたこのコーナーの一隅にクジラの頭骨が2体。クジラの墓場?いや海の動物たちの食性を知るための展示で、一つはヒゲクジラを代表するミンククジラ、もうひとつはハクジラ代表のシャチの頭骨です。
     ボタンを押すとミンククジラの模型は次第にセリ上がり両アゴの骨を大きく開きます。そして餌のオキアミを一杯に口にすると口を閉じて下顎をしぼり、中に入った海水を搾り出して餌だけを頂くという仕組みです。ドジョウ掬いを思い出させるこの動作で、海水を吐き出すときのフィルターになってるのがヒゲと呼ばれる部分です。ヒゲは人間の爪と同じケラチンで出来ていて、側にそのヒゲの1枚が置いてあります。長さ30cmほど、厚さ1cmほどのヒゲは弾力もあって、昔田中久重さんがからくり人形をつくったときにはゼンマイの代わりに使われました。
     
     しかしどうしてこれが“ヒゲ”とよばれることになったのでしょうか。英語ではbeardでもmoustacheでもありません。whiskerでもなく、baleen というクジラのこうした刃、薄い板(blade)にしか与えられていない名がついています。ヒゲクジラの中でももっとも大きな白長須クジラ。この須は恵比須さまの須であごひげという意。ということは随分昔からクジラにヒゲという言葉が使われていたに違いありません。どなたかその由来をご存知の方があれば教えてください。
     一方小魚を食べるシャチには口の上下に歯がありいかにも獰猛な感じがします。過日小学生に「ピノキオが飲み込まれたクジラはなんというクジラなの?」と質問されました。「あのクジラ歯があった?」「ウン」「よく観てるネ。じゃあハクジラだ。でも歯はどんな風に生えていた?」「サア、知らない」「あのクジラの歯は口の上と下、両方に生えているね。頭の形はマッコウクジラのように額が大きくなっているけれど、マッコウクジラの歯は下顎にしかないんだ。だからあのクジラは名前通りモンストロなんだネ。お家に帰ったらもう一度見てネ」ブログクジラ.jpg
     
     この部屋の隣、動物の展示コーナーの天井にマッコウクジラの全身骨が吊られています。これを見るとクジラの前ヒレがかって陸上にいた時代の前足の名残だったことが容易に想像できます。後足は大きな尾に。そしてその歯が下顎にしかついていないのを確かめることが出来ます。さらに地下2階に下りるとクジラがまだ陸上にいた頃の様子を知ることもできます。出口をでるとイナバウアーよろしく身体を曲げた体長30mのシロナガスクジラの模型が見送ってくれ、楽しかった科博での勉強はお終いになります。

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