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  • 胃癌全摘手術顛末記/山崎晃市

    私は今年4月14日90歳の誕生日を迎え皆に卒寿を祝ってもらった。

    それから20日後、4月24日、菊名記念病院で胃癌の全摘手術を受け、8時間に及ぶ大手術だったが、極めて成功裡に手術を終えたが、術後は肺炎を起こし、食事が全く出来ず、二ヶ月の入院治療を続け苦しんだが、6月26日経過退院して自宅に戻り、それ以後体力も次第に回復し、最近ようやく元通り元気になれる見込みがついてきた。

    癌発見から手術決行まで

    昨年11月突然多量の下血が出て、菊名記念病院にて受診の結果、急性の胃潰瘍とのことで即日入院、渡辺医師のもとで幸い1週間の入院で胃潰瘍は完全に回復した。しかしこの入院中内視鏡検査で胃癌が発見され、2期の中頃と診断された。医師の説明では胃癌の治療法は①胃癌摘出手術②抗癌剤服用③何もしないで天命を全うするの三つの方法があり、最終的には本人の意思で決定すべきとの事であった。

    セコンドオピニオンとして一高の友人で癌の権威の新田和男博士にも相談したが同じ意見で一般的には85歳以上の胃癌は天寿癌といって手術をしないのが多いとのことであった。結論として手術はしないで天寿癌を受け入れる決心をしてその前に最近 TS-1という癌の進行を遅らせる内服用の抗癌剤が出来たとのことなのでこれを試してみるべく年明けの1月12日TS-1服用のため前記菊名記念病院に入院した。この薬は取り敢えず2週間服用して経過を見る予定であったが10日ほど服用後副作用が激しく食欲が全くなくなり苦しくなったので10日ほどで服薬を停止し1月25日に退院した。

    その後、体調は正常に復したので何もせず自然に天寿癌を受け入れる決心を固め4月始めまで日常生活を続けていた。ところがその旨前記新田和男博士に報告したところ、彼が貴兄は90歳には違いないが体力、気力ともあまり衰えていないので是非手術を受けたほうが望ましいと強く勧めてくれた。結局その意見に従い4月中旬胃癌全摘手術を受ける決心を固め、菊名記念病院に申し込み、4月24日手術決行と決定した。

    胃癌全摘手術決行、そして爾後二ヶ月の入院治療

    4月24日主治医嘉悦勉先生ほか6人の先生によって胃癌全摘手術を行った。20年前の大腸癌の手術の為か小腸が癒着しており、それをはがす為に手間取って手術は8時間もかかる大手術となったが夜の8時ごろ極めて成功裡に無事終了した。その後4月25日から6月26日まで2ヶ月入院治療を受けた。

    その間の経過は次の3期に分けて述べることとする。

    第一期 4月25日から5月11日までの18日間:
    この間は絶対安静で栄養補給は専ら静脈への点滴に頼り口からは一切食べられなかった。また酸素不足を補う為常時鼻から酸素補給を行った。また寝たきりの為か誤嚥による肺炎を起こし喉に詰まる痰に悩まされた。また手術以前63キロあった体重は50キロまで低下した。

    第二期 5月11日から5月末までの20日間:
    この期間は鼻から小腸へ細い管を通しこの管を通して一日3回Inslowという栄養補給剤を摂取することとなった。口からは食事は勿論水もうまく飲めなかった。体重は45キロ位まで次第に低下した。肺炎はなかなか治らず、時々夜中などに激しい咳に悩まされた。

    第三期 6月始めから6月26日までの26日間:
    この期間は管からの栄養摂取即ちInslow摂取を1日2回とし口からの食事(経口食事)を努めて増やすように努力した。しかしながら出される食事は無理しても出された食事の2ないし3割くらいしか食べられなかった。この間運動不足を補う為一日1時間程度リハビリを行った。

    6月26日退院、自宅療養が始まる

    主治医の嘉悦先生の許可を得て6月26日無事退院し、自宅で看護師さんから指導を受けて自宅で家族の手で経管による栄養補給を行うこととなった。

    退院時、市役所で介護保険適用の申請を行った。その結果は数週間後の決定されるとの事だったが、それに先立って訪問看護師の派遣が始まり、毎週月曜日に1時間ほど看護師が訪問してくれ、自宅療養の手伝いをしてくれる、その費用は介護保険で9割分担してくれるとの事。中々良いシステムだと始めて知った。

    自宅帰還後は朝7時頃起床後は夜9時頃就寝まで一日中起きて家中動き回っているのでその為か食欲が出てきて急に口から食べられるようになってきた。また寝室が2階にあるので毎日数回階段を昇降するのも良いリハビリになっていると思われる。

    退院後2週間は管による一日朝晩二回のInslow摂取は続けてきたが、近く先生の許可を得て管を外したいと考えている。体重は退院後1ないし1.5キロ増加した。

    7月7日 受診 快方に向かう

    7月7日菊名記念病院にて主治医嘉悦先生受診。口からの食事が出来るようになったので栄養補給の管を外した、手術語の治療はほぼ完了し、あとは時間をかけて体力の回復を図るのみとなった。万歳万歳!

    7月19日 受診 ほぼ全快

    7月19日菊名記念病院にて主治医嘉悦先生受診。全快したと言われた。今後は訪問看護も不要。よく頑張りましたねといわれた。但し体力はかなり衰えているので、歩行もたどたどしく戸外外出も自宅周りの1キロ程度の歩行がやっとという始末である。

    しかし最初は手術も諦め、手術直後入院中もこんなに元気に回復できるとは思ってもいなかっただけに、ここまで回復できたのは、主治医嘉悦先生はじめ病院の方々、また手術を勧めていただいた新田和男先生に心から感謝する次第である。(8月1日現在)

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