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  • 近頃思うこと(その38)/沢辺栄一@クラス1955

      昨年暮れに日産自動車の前会長カロルス・ゴーンが報酬過少記載事件と特別背任事件で逮捕されたが、彼の強欲なことに驚いている。

      組織運営の方法としてトップダウンとボトムアップがあるが、欧米諸国の会社ではトップダウンが普通のように思われる。一方、日本ではボトムアップの傾向が強いと思う。民主主義の先輩である欧米諸国の組織がトップダウンで事が決定されるのは何故か、不思議に思う。個性を尊重した欧米で経営管理に対して各種の意見が出ているのではないかと思うが、如何なのであろうか。
      ゴーンが日産自動車の経営に携わって、傾いていた日産の経営を立ち直したことによってゴーンの経営手腕が評価されたが、人員削減による経営改善は誰でも出来ることであって人員削減を行なわないで経営を立て直すことが、真の優れた経営者ではないだろうか。
      欧米の経営者は一般に強欲で日本における欧米の経営者の年間報酬は著しく高い。新聞によると武田薬品工業のウェーバー社長は12億1700万円、トヨタ自動車のルロワ副社長は10億2600万円である。一方、日本の民間企業で高額報酬を貰っていると思われる銀行の頭取でも三菱UFJ銀行頭取は1億6800万円、三井住友銀行頭取は1億4900万円とのことであり、日本の経営者の年間報酬は高くても2億円である。なお参考として、政府公的機関では首相が約4000万円、閣僚が約3000万円、事務次官が約2300万円と報じている。
      欧米の企業トップは従業員の協力を得ているにも係らず、自分一人で儲けているのだと考えているように思われる。日本人のトップは従業員の協力によって始めて儲けが得られたと考えるのが普通である。欧米人と日本人のこれまで培われた文化の違いが現れているように思われる。欧米人は自分のことだけを考えるワイルドな行為を取る一方、日本人は慎ましさ、他人の気持ちを推し量る配慮とバランスのある感覚で行動する人間性のある文化を背負っていると思われる。
      欧米人は圧倒的な武力により、インカ文明、マヤ文明、インディアン等の在米現地人を非常にワイルドな力で滅ぼしたが、明治時代、欧米人の植民地になることを恐れ、欧米に習って富国強兵を進め、欧米文化が素晴らしいものとして、我々の時代になっても欧米文化を見習うことに専念してきたように思う。昔はドライで合理的な西欧の考え方に惹かれていたが、最近は歳を取ったためか日本の人間的な思いやりの在る考え方の方が、穏やかな普通の人間社会ではより一般的ではないかと思うようになった。
      日本人の技術力、スポーツ能力は世界のトップレベルに対抗できるように向上したが、3位に下がった日本の経済力も回復に努め、ドラッカーの経営でなく日本人の人間性の在る経営手法を世界が見習い、世界に広まることを願っている所である。
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