諸先生のおもかげ

東京大学電気工学科同窓会(渋沢元冶理事長)は、昭和34年3月に小冊子「諸先生のおもかげ(第一集)東大電気工学科の生い立ち」を発行しました。明治から大正、昭和に跨る電気工学科の歴史を148ページにまとめたものです。更に、その続編として、昭和56年6月に「諸先生のおもかげ(第二集)東大電気工学科のあゆみ」を発行しました。

この度、冊子をPDF化して、同窓会の会員の皆さまの閲覧を可能といたしました。参考に、第一集のはしがきを以下に示します。

## 諸先生のおもかげ(第一集)東大電気工学科の生い立ち<PDF 31MB
## 諸先生のおもかげ(第二集)東大電気工学科のあゆみ<PDF 46MB

omokage_1st_top<参考>第一集「はしがき」

東京大学電気工学科同窓会の目的は「会員相互間の親睦をはかると共に、教室との連絡を緊密にする」ことにあるので、昨年五月の懇親会席上で、余は電気教室草創時代の諸先生のおもかげを伝える小冊子の編集発行を提案したところ大賛同を得たので理事会にも諮り昨年六月から、その編集に着手した。

初め余は、同窓会会報の一号及び二号に「電気工学教育の発端」としてエアトン先生、志田先生、中野先生などのことを書き始めたが、何分にも同会報の発行は一年に一回か、二回に過ぎず、いつ終わるとも見込みがつかなかつたので、この小冊子の発行を思い立つたわけである。

そこでまず第一着手としてエアトン先生、志田先生時代から鳳(秀太郎)先生時代までを第一集として発行することとした。この第一集を急いだのは、これら諸先生の薫陶を受けた方々は、だんだん少なくなり、今にしてまとめておかないとその遺風を偲ぶよすがが全く無くなるのを恐れたからである。

第一集の執筆者としては明治時代から大正半ばまでに卒業されて、大学との関係の深かつた方を中心にお願いした。しかしどこで線をひくかについては、いろいろ苦慮を要したが、予定頁数の制限もあり、次の目次に記載するようなことに落ちついた。執筆者各位の御協力に深謝すると同時に、当然お願いすべかりし方でお願いしなかつた向きも多いと思うが、何卒ご了承を願いたい。

また、最初は明治時代までに限る予定で、巻末の年譜は大体それを遵守したが、本文では種々関連する問題があつて截然と区切ることは不自然となるので、対象年代に及んだところが多い。しかる上は当然鯨井教授、西教授をも加えるべきであろうが、そうなるとまた著しく範囲が拡大するのでやむを得ず第二集にゆずることにした次第である。

終わりに本書の刊行に当り編集事務一切を引受けて頂いた古賀広治君の労を深謝すると共に、執筆をお願いした各位、並びに工学部長古賀逸策君をはじめ資料の提供その他にいろいろ御協力下さつた方に対し衷心から感謝の意を表する。

昭和三四年三月

東京大学電気工学科同窓会
理事長 渋沢元冶