• 最近の記事

  • 電気系学科・専攻の変遷と同窓会活性化への取り組み/理事長桂井誠

    140926KasturaiMakoto

    私は昨年11月の電気系同窓会総会にて理事長への就任を仰せつかり、以来、ほぼ1年が経過しましたが、この間に会員の皆様にご挨拶する機会を逸しており大変失礼申し上げました。本同窓会理事長は、大学関係と企業関係の卒業生が慣例として2年ごとに交互に着任することにより、柔軟な発想のもとで活動の幅を広げ、活性化に成果をあげてきました。私は、茅陽一先生、佐々木元様、多田邦雄先生、青木利晴様を引き継いでの着任であって、前任の諸先輩のご尽力とご貢献を引き継ぎ、さらなる工夫を重ねて魅力ある同窓会にすべく努力する所存でございます。ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

    卒業生の母体である電気系学科の変遷

    本同窓会の基盤となる電気系学科のルーツをたどりますと、1873年(明治6年)に創設された工部省工学寮電信科に始まり、「電気」の学術と技術を基盤とした世界最初の工学科といわれております。初代教授はご承知の通り、英国より招聘されたエアトン先生であり、1873年に着任当時は26歳という新進気鋭の教育研究者で、5年間にわたる滞在中に情熱をもって学生指導にあたられ多くの研究成果をあげられました。

    旧聞に属しますが、昨年2013年3月、名古屋で開催されました電気学会全国大会の折に、「電気の礎(いしずえ)」の一つとしてこの「工部省工学料電信科とW.E.エアトン」が取り上げられ、その伝統を引き継いでおります東京大学電気系学科が顕彰先として選定されるという栄誉に浴しました。それを記念した展示スペースが新装なった工学部新3号館にもうけられる予定です。

    本同窓会の設立は1957年(昭和32年)であり、当時は電気工学科1学科で卒業生は毎年約40名でしたが、1958年(昭和33年)には電子工学科が新設され、1960年(昭和35年)4月に3年生が同学科に進学。1962年(昭和37年)3月に6名(内1名は留学生)が電子工学科第1回生として卒業しました。その後、毎年の卒業生は約80名となりました。さらに第2次ベビーブーム世代の学生増に対応した臨時定員増がおこなわれ、卒業生は毎年約110名となりましたが、ベビーブームが去った現在においてもその定員は維持されております。

    そのような時代の流れの中、日本経済の高度成長期においては大学院進学者が増大、学部に代って大学院を部局とする大学院大学の制度変更が行われました。その結果、本同窓会の母体組織も、工学部電気工学科および電子工学科から、大学院工学系研究科電気工学専攻および電子工学専攻へと移行することになりました。それに歩調を合わせるように、内外の他大学から本学大学院に進学する学生が増大して、その修了者をも含めることによって本同窓会の基盤が広がりました。現在、毎年本同窓会に新たに登録される学生の出身母体は大変多様であり、具体的には下記にまとめたような状況です。全体を合わせますと毎年約160名が新たに会員となっております。

    電気系同窓会員の出身母体(2014年時点)

    [ ] はキャンパス所在地、記載ないものは本郷キャンパス

    • 工学部 電気電子工学科・電子情報工学科
    • 大学院工学系研究科 電気系工学専攻、バイオエンジニアリング専攻。(内電気系研究室)関連部局:工学系研究科、生産技術研究所・先端科学技術研究センター[駒場第2キャンパス]、JAXA宇宙科学研究所[淵野辺地区]
    • 大学院情報理工学研究科 電子情報学専攻(内電気系研究室)
    • 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻(内電気系研究室) [柏キャンパス]
    • 大学院情報学環・学際情報学府(内電気系研究室)

    なお、ここに記載以外にも電気系関係者の研究室が幾つかありますが、詳細は略します。

    過去、長らく本郷キャンパスの電気・電子工学科出身者を母体としていた同窓生でしたが、現在では上記のように広い部局の電気系関連の学科(学部)・専攻(大学院)出身者によって構成され、同窓生の活躍の領域は大変拡大しておりますので、その交流の場として本同窓会は誠に相応しいと考える次第です。

    就職先の多様化

    ところで、これらの学科・専攻を卒業・終了した同窓生の就職についての概要をお知らせいたします。まず、就職活動の現状についてご年配の同窓会員のかたにとって意外と思われるであろうことは、推薦応募と自由応募の比率が逆転していることです。

    私が就職担当を務めていたころの1980年頃までの長い間、文系は自由応募、理工系は推薦応募という常識が定着しており、電気系卒業生においても実際、8~9割は推薦応募でした。しかし、その後、推薦応募の比率は減少しつづけて、現在では完全に逆転しており、学科・専攻による推薦応募は約1/4、自由応募は約3/4(2013年度の推計)となっております。

    また、詳細は明らかではありませんが、卒業生が就職後の数年間での転職する割合も大変大きくなっております。卒業生、修了生の就職先にも大きな変化が見られます。過去では大手電気電子製造業と大手電力・通信関連企業への就職率は合わせて6~7割近くになっておりました。しかし、現在、そのような会社が再編された事もあって統計は取りにくくなっておりますものの、それらへの就職率は5割をきっていて、就職先の分散は顕著です。私の勉強不足のために名前をしらないいわゆる「カナ文字会社~IT企業」への就職も増えております。

    このような背景のもと、電気系同窓会を取り巻く環境は日本の産業構造、しいては世界の経済構造の変化に影響を受けて大きく変わってきており、同窓生の関心も変化しております。この変化に対応させることが同窓会活動を活性化するための第1の課題と考える次第です。

    懇親会参加者を増加させるには

    私としてまず残念に思うことは、年1回行われる総会後の懇親会への参加者の減少です。この問題の解決については長年努力がなされており、企画に種々の工夫がこらされてきましたが、実際には伸び悩んでおります。昔話で恐縮ですが、私が幹事を務めていた1980年代においては、懇親会は高度成長期のもとで大変活気があり、参加者は300名を超えていたとおもいます。当時の同窓会会員が約3000名でしたから、約1割の方が懇親会に参加されていたことになります。しかし、その参加者は年々漸減してゆき、昨年の懇親会の参加者は約100名、一方、亡くなられた方を除くと現在の会員数は約6000名ですから、参加率は大幅に低下したことになります。同窓会の役割は世代を超えた縦の交流を促進することが一つの使命と考えますと、何とか懇親会を昔のように盛会にしたいと考えております。この問題解決にあたって、私どもとしても優先課題として努力いたしますが、皆様からの積極的なご意見をいただければ幸いに存じます。

    ネットメディアへの移行

    前記のように、懇親会への参加者数が停滞している一方で、ここ数年、ウェブ(インターネットのホームページ)を通しての同窓会へのアクセスに顕著な増加がみられます。このウェブページの構築には元理事長茅陽一先生の先見的なご指導と同時に、同窓生の有志による貢献が中心となって進められてきて大きな成果をあげております。ご関係くださった方々に感謝申し上げる次第です。

    ご承知かとおもいますが、同窓会ホームページの構築、WEB名簿、会員一斉メールシステム、等を通して迅速な情報提供、情報共有が実現しております。同期生のクラス会などの状況も閲覧できますので、世代を超えたそれぞれの卒業年度の同窓生クラス会活動を知ることがでます。また、今秋より新たに「温故知新」というコラムを設け、まずは名誉教授の先生がたに順次ご寄稿をお願いすることとしました。お楽しみいただければ幸いです。同窓生の中には機会があったら寄稿したいとお考えの方も多いと察します。気軽に寄稿できる特別欄を開設して、そのようなご希望に応えたいとも思っています。このような状況のもとで、ますますこの同窓会ウェブページは活気を帯びてくるものと期待する次第です。

    ちなみに、同窓会サイト(ホームページ、トップページ)へのアクセス回数は2007年度開設年度には約7,500件でしたが、年々増加しており、2011年以降は定常的に年に約24,000件程度となっており、一日平均アクセス数は65件程度となっております。今後はさらなるコンテンツの充実をはかり、会員の皆様に楽しんでいただけるよう、多方面の情報提供を行って同窓会の存在感を高めたいと思っております。

    一方、長らく親しまれてきました同窓会報については2007年の51号をもって冊子での送付は終わり、ホームページ版へ移行しております。つきましては、お読みになるにあたってはそこへのアクセスが必要となっていますが、この方式に馴染みのない方へはWEB縮約版として紙媒体での配付も行っております。入手をご希望の方はご遠慮なく事務局にお申し出下さい。

    「同窓会活性化ワーキンググループ」の活動

    このように、変化し続ける時の流れの中にあって、電気系同窓会の活動を機動的かつ柔軟に更新して行くための取り組みが必要です。過去においては、大学所属の教員が中心となって幹事の業務を分担しておりましたが、2000年に入ってそのような幹事と連携する「電気系同窓会活性化ワーキンググループ」が組織されました。ここには中間世代の学内外のボランティアの方が数十名エントリーされ、毎月、会合を開いて多角的な視点で活性化について取り組みを続けてくださっています。

    上記のネットメディアの活性化は主にこのグループの貢献によるものです。メンバーの中には社会人だけでなくて学部生、大学院生も加わっており、進学振り分けでの電気系学科の魅力を伝える方策を色々と検討しております。具体的には五月祭において、学科の魅力を伝えるに相応しい企画を実施しており、大変な成果をあげております。その成果が実を結びつつあり、この数年、学部2年生を対象とした希望学科への進学振り分けにあたって、電気系学科に対する好感度が上昇して、いわゆる「人気ある学科」へと復帰させることに成功しております。

    まとめ

    以上、電気系同窓会を取り巻く状況をご説明申し上げ、活動の活性化に向けての取り組みをご紹介いたしました。最後になりますが、同窓会は皆様に会費によって活動が支えられております。是非、会費納入にご協力いただきたく、金融機関からの自動引落し制度も発足いたしましたので、ご利用いただければ幸いに存じます。なお、すでにご協力をくださっています会員の皆様におかれましては、この件、ご放念くださいますようお願いいたします。

    皆様のご健勝を祈念いたし、益々のご協力をお願い申し上げる次第です。

    (1965年電子卒、東京大学名誉教授)

    ・・・話題提供まで・・・
    背景の建物は軽井沢南丘にある「国際高等セミナーハウス」通称「イノセロッジ」と呼ばれる国立情報学研究所所属のセミナーハウスです。名誉教授であられた(故)猪瀬博先生(1948年卒)がご寄贈された土地にたてられたもので、情報通信系の同窓生の方はご存知かと思います。たまたまこの秋に機会があって初めて立ち寄ってみました。
    http://www.nii.ac.jp/about/seminar-house/
    140926KasturaiMakoto_rojji

    ** **

    2 Comments »
    1. 昭和37年(1962年)電子工学科卒のものです。
      桂井誠理事長がよくまとめて下さった電気系学科・専攻科の歴史を読んで感慨深いものです。ありがとうございます。
      一点だけ誤植かコンピューターの変換ミスだと思いますが正確さを掛けた数字がありますのでよくを調べ下さって訂正していただきたいところがあります。それは電気系同窓会設立のところの次の文です。つまり「1981年(昭和36年)には電子工学科が新設され、その後、云々。」まず昭和36年なら1961年となるはずです。またこの36年の電子工学科設立もどうやら正確ではないと思います。私の記憶だと1959年の設立だったが1960年になって定員5人の募集だったはずです。私は当時は外国人留学生の定員外1人で総勢6人の学科です。
      よろしくお願いします。

      Comment by 檀 良 — 2016年12月2日 @ 09:41

    2. 檀 良様

       私が電気系同窓会理事長を勤めておりました2014年秋に、同窓会ウェブ版に寄稿いたしました「電気系学科・専攻の変遷と同窓会活性化への取り組み」をお読み下さり、在学時代を懐かしく思い出されたご様子にて大変嬉しく存じます。

       ところでご指摘下さいました電子工学科設立についての記載は、年号に誤りがあり、また説明不足で内容に混乱がありましたのでお詫び申し上て訂正させていただきます。

       電子工学科設立に関する正式な年代記は以下のとおりです。

      1958年(昭和33年)4月 学科設立、1年生入学者について配属なし。  
      1959年(昭和34年)4月 2年生、進学振り分けで内定者が決定。
      1960年(昭和35年)4月 3年生、進学時に5名および別枠1名の留学生の配属が決定。
      1961年(昭和36年)4月 4年生へ進学
      1962年(昭和37年)3月 電子工学科第1回生卒業。6名。

      1959年(昭和34年)以降は入学時の電子工学科定員は約40名に増員。

       ここで記したように、電子工学科の正式な設立は1958年(昭和33年)ですが、実際に学生が同学科に所属したのは3年進学時の1960年(昭和35年)4月で、壇様のご記憶と一致いたします。

       ご指摘に感謝いたします。
                                桂井誠

      Comment by 桂井誠 — 2016年12月19日 @ 19:24

    Leave a comment

    コメント投稿後は、管理者の承認まで少しお待ち下さい。また、コメント内容によっては掲載を行わない場合もあります。