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  • 「ナマズの研究をやってみたい」/関野正樹

    現在、2人の子供(2歳と0歳)の父親となり、趣味を楽しむ時間がめっきり減ってしまいました。それでも続けている趣味の一つに、熱帯魚の飼育があります。わが家で飼っているのは、プレコと呼ばれるナマズの仲間で、アマゾン川など南米の熱帯地方に棲息しています。サイズは小型の個体で数cmから、大きく育つと50cmを超えることもあります。必要な世話は、一般的な淡水熱帯魚とあまり変わらず、毎晩の餌やりと、週に一度の水換えだけなので、少々忙しくても維持できます。餌やりは子供も喜ぶので、一石二鳥です。長く飼うために大事なポイントは、水温や水質の急激な変動を抑えられるように、大きめの水槽を用意することでしょう。わが家では、幅90cmの水槽で、小型のプレコを10匹飼育しています。

    華やかな熱帯魚の中で、ナマズの仲間は「底モノ」などと呼ばれるジャンルに含まれ、どちらかというと地味な存在です。プレコも、水槽の底を這うように泳ぎ、底に沈んだ植物性の餌を食べます。夜行性であり、部屋が明るいうちは物陰にずっと隠れているため、水槽を初めて見た人には「魚、いるの?」と聞かれることがほとんどです(妻にもよく言われました)。しかし実は、プレコには熱烈なマニアが多くいます。色は黒や褐色を基調にしつつも、鮮やかな黄色や白、緑などの縞模様や斑点が入っており、爬虫類が持つ美しさに通じるものがあります。また、大きく展開する背びれや、体表を覆うトゲは非常に立派で、可愛いというよりは、かっこいい魚なのです。

    淡水魚の世界で、ナマズの仲間は、コイの仲間と並んで、数千にも及ぶ種類の多さを誇っています。特に熱帯のナマズは多種多様で、現在でも、新種の発見が相次いでいるそうです。ちなみに、プレコの中で最も美しいといわれる通称インペリアル・ゼブラ・プレコは、日本人によって発見されました。そして、世間にも有名なナマズ研究者といえば、秋篠宮殿下であり、学術雑誌に論文も執筆されています。

    Ayanomiya Fumihito. Morphological comparison of the mekong giant catfish,Pangasianodon gigas, with other pangasiid species. Ichthyological Research,Vol. 36, pp. 113-119, 1989.

    私もいつか、ナマズの研究をやってみたいと、密かにチャンスをうかがっています。今から魚類学者に転向するのは難しいでしょうが、実際に取り組みたいと思っているのは、ナマズの電気感覚の研究です。ナマズの仲間は、電気を上手に利用するように進化してきました。アフリカに棲息するデンキナマズは、体内の発電器官によって、数百ボルトの電圧を作りだし、小魚を感電させて捕食したり、体の周囲に電界を形成して周りの様子を探ると言われています。また、他のナマズの仲間も、夜行性であるためか優れた電気感覚を有する種があり、餌となる生物が発生するわずかな電圧を感じ取って捕食するのだそうです。さらに、地震の前にはナマズが異常行動を起こすと言われますが、これは、地殻の動きによって発生した電磁界を、ナマズが感じるためだという説があります。応用としては、ナマズのような電気感覚を備えたロボットなど、あり得るかも知れません。

    ナマズに興味のある学生さんや先生がおいででしたら、ぜひ声をおかけください。

    2 Comments »
    1. 電気系教員の橋本樹明です。私も熱帯魚を飼っています。特にナマズが好きというわけではありませんがプレコも1匹います。熱帯魚飼育は人工衛星の運用と似たようなところがあります。世話できるチャンスは1日1回朝の餌やりのときだけ。見ていない間にヒータ切れとかエアーポンプ故障等のリスクがあるため、気休めですが熱容量でもたせられるように水を多めにするとか、別系統のエアーポンプを併用するとか、考えたりしています。また、時間ができると新しい魚を増やしたり濾過システムを改良したりしたくなるのですが、確立したシステムをいじるとかえって悪くなることが多いです。その一方で、長期の出張などに出かけると、何匹か死んでいたりします。監視はできるだけ頻繁に、しかし設定変更は最小に、というのが鉄則のようです。

      Comment by 橋本樹明 — 2011年8月1日 @ 20:58

    2. 橋本先生

      コメントをありがとうございます.「監視はできるだけ頻繁に,しかし設定変更は最小に」という考え方は,魚たちと日々接する中での実感として,とても納得いたしました.外界から切り離された空間で,生命を維持していくという点では,有人宇宙機に似た点もあるかも知れません.もし水換えが不要な濾過装置が実用化されれば,さらに近いシステムになりそうです.

      水量を増やして熱的および化学的に安定化させる効果は大きいようです.現在の住居への引っ越しを機に,水槽サイズを45cmから90cmへアップグレードしたところ,2年間まだ1匹も病気や死亡がありません.

      関野正樹

      Comment by 関野正樹 — 2011年8月3日 @ 11:28

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