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  • Googleの破壊的創造力の内側を垣間見る/石塚満

    Googleは情報世界変革の中心的存在で、幾つかの面でこれまでとは異なる普通でない型破りの風雲児企業である。次々とグローバルに新しい情報サービスを創出し、しかも(大部分)無料で提供している。これは情報産業のビジネスモデルにも構造変革をもたらしている。日本の企業とはかなり異なる体制の情報企業であるが、シリコンバレーにおいてもこれまでとは異なり異質と見なされている。主にジャーナリストによる紹介本は幾つか出版されているが、Googleの外部に対する秘密主義もあり、研究開発に関する様態、どこが他の企業とは違うのかに関しては、十分伝えられていなかったと思う。Googleの外部に対する秘密主義は、創業当時に検索エンジンのアクセス数が急速に増大していた時期に、この事実が明らかになると他社が敵対してくることを避けるために取られたようで、その後も継続している。Google社員(Googlerという)は内部情報の口外をかなり厳しく制限されている。

    大変関心はあるのだが、Googleの破壊的創造力の内側は十分に、或いは体系立って伺い知ることがなかなかできなかった訳である。そのような中で、2010年2月にZurich、同7月にMountain Viewでの2回のGoogle Faculty Summitに参加する機会があり、計5日間Google内部に滞在した。勿論、全貌という訳ではなく、特に経営戦略レベルの話は殆ど聞くことはなかったが、研究開発の内容や様子をかなり垣間見る機会があった。
    Faculty SummitはTech Talkと称し、新技術の話が中心であるが、筆者が研究者の眼で見聞したGoogleの十分知られていなかった他企業・組織とは違う創造力の構造といったものを、項目を挙げて記してみると以下のようになる。

    a)収益のことは考えなくてよく、Googleのミッション(Organizing the world’s information and make it  universally accessible and useful)の下で発想の範囲を広げ、チャレンジを生んでいる。
    b)ボトムアップ・アプローチ:20%ルールはこれを促進する制度となっている。
    c)豊富な自前のプラットフォーム:世界レベルのサービスへ展開する環境も整っている。
    d)社内での情報共有:部門間を超え、ソースコードのレベルまで共有が図られている。
    e)エンジニアリング、サイエンス、ビジネスがco-locate
    f)チームの創造性:能力の高い人を採用しているが、個人の創造性と共に、或いはそれ以上にチーム の創造性を重視している。
    g)Empirical及びHolisticアプローチ

    Mountain View本社でのFaculty Summit会合に創業者のLarry Pageが予定もなく現れ、促されて短い挨拶をした。彼ともう一人の創業者であるSergey Brinは出席予定になくとも興味ある会合にはフラット顔を出すとあったが、まさにそのようであった。短い挨拶の中で何度か ”I am excited in changing the world.”と言っていたのが、印象的であった。

    より詳しい記事は以下にありますので、興味があればご覧ください。
    http://www.miv.t.u-tokyo.ac.jp/papers/ishizuka-GoogleInside-JAPIO2010.pdf

    1件のコメント »
    1. 石塚先生のJAPIOの寄稿も拝読いたしました。私は通信会社のビジネス部門に勤めるものですが、生活者に近い成果を研究開発する組織はビジネス部門と隣合わせに(できれば街中に)あるべきだとつねづね思っていました。まさにGoogle社はそうなのですね。低迷する日本の国際競争力を考えるうえでも、とても参考になりました。ありがとうございました。

      Comment by 西村憲治(平3修士卒) — 2011年1月31日 @ 16:26

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