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  • 新任のご挨拶「面白い研究の場を目指して」/豊田正史

     平成18年9月1日付けで生産技術研究所戦略情報融合国際研究センターの助教授に着任いたしました。私は、東京工業大学の理学部を平成6年に卒業し、平成11年に博士号を取得するまで同大学の情報理工学研究科に在籍しておりました。学部、大学院とも柴山悦哉先生に師事し、ユーザインタフェースおよび情報可視化の研究に携わりました。博士取得後に生産技術研究所に移り、喜連川優先生のもとでポスドクを4年半、特任助教授を2年半勤めました。この間、インターネット上の膨大な情報源であるWWW(world wide web)からの情報検索、データマイニング、および情報可視化の研究に従事し、現在も継続してこれらの研究を推進しております。

     東京大学電気系にかかわりますのはこれが初めてということもあり、着任当時には若干戸惑いがありましたが、最近ようやく雰囲気が少しつかめて参りました。電気系の発展に貢献できるよう微力ながら力を尽くしていく所存です。

     生産技術研究所に移ってから、かれこれ7年続けております研究テーマですが、最近ではすっかり世の中に浸透しているWWWの検索エンジンに深く関連しております。WWW上の情報量は爆発的な増加を続けており、現在では200億を超える文書、画像、動画などが公開されているといわれています。この膨大な情報の中から、われわれが必要とする適切な情報をいかに引き出し、いかに知的活動に活用していくかが非常に重要な課題となっております。

     通常の検索エンジンは、最新の情報を素早く検索することに注力して構築されていますが、私はWWWの動的な側面に着目し、その変化の履歴から社会現象を読み解くというまったく観点の異なる検索に興味をもっております。WWWは多数のページの生成・更新・消滅を経て日々変化を続けており、現在ではテロのような大事件から、個人の趣味に関することまで多様な情報が即座に反映されるようになっています。このため、WWWは現実世界の事象を映す鏡として見ることもできます。これを逆に見ますとWWWの日々の変化を観測することで、社会の動きを読むことができるということになります。私は、生産技術研究所に移った直後から、WWWを定期的かつ大規模に収集し続け、その変化の観測を可能にするデータベースを構築するとともに、WWWの大局構造の俯瞰、およびその発展過程の把握を可能にするさまざまな手法を、データの解析から可視化まで一貫して開発してきました。現在では、実際に社会学者やマーケティング研究者などと共同で社会現象解読を試みるまでになっています。

     近年WWWは、大規模なデータとしての側面のみではなく、人々の知的活動および社会活動を促進する強力な場としての側面が重要となってきました。生産技術研究所の自由闊達な研究風土を生かし、面白い研究の場を創っていきたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

    (平成6年東工大情報科学卒 生産技術研究所准教授)

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